歴史を味わう

Campbeltown Springbank(スプリングバンク) 80年代流通品

久しぶりに、Authentic BARを訪れた様な気がする。普段は比較的ラフな格好で通勤しているけど、写真の様なお酒を飲むと決めていたので、久しぶりにスーツを着用して出勤したのだ。もっとも、BARは常識的な範囲であれば、ラフな格好でも構わないけれどもね。ただ、Authentic BARは、何処のお店でも独特の雰囲気があるものだ。酔う為に酒を飲む場所ではなく、味わう場所であるという事が少しの緊張を強いられるのかもしれないけれどもね。

Islay Laphroaig 10年(ラフロイグ) 70年代流通品

今回、この様なお店に行ったのは、久しぶりに本当に美味しいモルトを味わいたかったから。そんなモルトの多くは、昔に作られていた所謂オールドボトルが殆どだ。比較的飲みやすい60年代や70年代蒸留のモルトでも、現行品と味が全然違うことが多いのだ。

もっとも、現行品が駄目で、オールドボトルが良いという単純な話ではないと思う。突き詰めれば、嗜好品だから好みの問題もあるし、保存状態の善し悪しがオールドボトルはあるので、古ければ良いという単純なものではない。

BARのご主人と話したのだけど、昔の今はポットスチルの数が全然違うし(要するに量産しだしたのが70年代という事が多い)、大麦も品種改良が行われたり、量産に伴い、地場以外の大麦も使う様になっているらしい。また、スコッチの場合、保税倉庫で最低三年の樽熟成を行うことになっているけど、この保税倉庫が同じ環境かという話になれば、当然量産しているから増設したり、場合によっては場所が全然違う場合もあるらしい。

結局、作り方や環境が変わっているのだから良い悪いではなく、味は変わっても当然という事なのだと思う。そんな知識など知らず、現行ボトルを楽しめればそれで良いと思うけど、何度かオールドボトルを味わった事もあるので、僕は昔の味の方が好みなんだと思う。

まあ、色々理屈は書いたけど、何だかんだ言っても昔作ったモルトの方がそのモルトの特徴が良く出ているし、飲んで美味しいと僕は思う。但し、酒屋に注文しても入手出来る酒ではないから、そのボトルが無くなったらお終いという事が殆どだ。また、貴重品故に決して安くは飲めない。

 

具体的な値段はボトル毎に違うので書かないけど、最低でも1ショット数千円は間違いなくとられます。大金持ちの方であれば、気にしないで適当に頼めばいいけど、サラリーマン故にそんな真似はとても出来ない。BARで勘定の話をするのは、格好悪いと思うけど、注文する前にある程度の確認はしておくのが無難だろう。

Islay CAOL ILA 16年(カリラ)1969年蒸留

 

この手の酒で評論など出来る資格も無いし、スキルもないので飲んだ酒の蘊蓄は書けないけれど、今回飲んだモルトの説明だけは書いておきます。

スプリングバンクは、キャンベルタウン・モルト。現行品ではまず飲む事はないモルトで、今回のスプリングバンクは香りが素晴らしい。思ったよりも塩っぽさは少なかったけど、オイリーと言われた味わいは良かった。昔一度だけ凄いスプリングバンクを味わった事があるけど、その次に良かった一杯だったね。

ラフロイグは常飲している銘柄で、いつもは当然ながら現行品。ただ、現行品でもカスクはCPが高いとは思っている。さて、今回のラフロイグはやはりヨード臭が現行品の比ではない。飲み終わってからも、独特のフレーバーがずうっと残っていた。

カリラは好きな銘柄の一つだけど、入手しやすいボトルで良いと思ったことがない。最後はBARのご主人にお任せでスモーキーな一杯をと、注文して出てきたのがこのカリラだった。注文通り、スモーキーだったけど、特筆なのはカリラ独特の複雑なスパイシーさが味わえた事だろうか。このスパイス感は本当にいいものだね。

2 件のコメント

  • カリラ、好きです。年に数回しか、飲めませんけど(苦笑)

    • 西別川さん、こんにちは

      カリラは僕も好きというか、美味しいカリラは好きです。この銘柄は近年産の当たり外れが大きい様な気がします。古い蒸留年産だと長期熟成しか入手出来ないのも、厳しいところですね。アイラの長期熟成は滑らかになる反面、アイラらしさが薄れる様な気がするのです。

      これを好きだという人が居ても、全然構わないのですが、素直にハイランド系を飲んだ方が安上がりかもしれません。銘柄にこだわると変な事になってしまう例でしょうか。