2025 南西諸島の釣り

多良間島 リーフエッジ周辺の藍色をみたく、那覇より先の航路のみ窓側を選ぶのだ

前回の沖縄遠征を調べてみると、2015年に単独でマングローブ狙いのアタックを行っていた。その間、仕事やプライベート、世の中では新型コロナのパンデミック騒ぎなど、遠征を阻害することが重なったとはいえ、遠征をしなかったのは仕事上の理由で自由な時間が取れなかったという事もあったと思う。

物理的な話をしても、関東や関西在住であれば半日で移動出来るところを、北海道からの移動はプラス半日必要となる。この為、前後1日づつは移動日としての確保が必要で、最低でも3日間の休みは必要となるのだけど、流石に3日間だけの遠征は余裕がなさ過ぎる気がする。

それはさておき、今回の遠征は4泊5日の日程で西表島で三泊、石垣島で一泊(正確には東京で前泊し、早朝の羽田便で向かった)したもので、釣りは三日間行った。三日間のうち二日間はリーフの五目釣り、一日はマングローブの釣りである。

西表島 5時半頃にようやく空が明るくなる

前日は午後に西表島の大原へ上陸し、レンタカーで上原へ向かった。宿も釣りも上原が近いのだけど、梅雨明けのこの時期はカーチバイと呼ばれる強い南風が吹くことが多く、外洋を経由する上原便は欠航するリスクがあった為、比較的安全な大原経由で向かう事を決めていた。

どの釣りもフィッシングガイドをお願いしているのだけど、明け方から釣りをするなんて事はなく、大抵は9時から17時という時間帯でサービスが行われる。勿論、交渉次第で多少の調整は可能ではあるけれど、基本は仕事時間と同じだと思っていても良い。

この為、朝は宿で朝食を食べてから準備を行うという流れであり、明け方から朝食までの時間は貴重な行動時間でもあった。幸い、レンタカーを確保していたので明け方前の西表島を三日間にわたって満喫出来たけど、この時間帯でも気温は27~28度はある。それでも太陽が出る前は離島特有の風で十分に涼しく、汗ばむ事もない。

そんな西表島だけど、この周辺では海水温が高く常に雲が作られている感がある。この為、夜明けの景色は美しいものの、丸い太陽が水平線を昇るという景色はあまり見ることはできない。

西表島 星砂海岸の日の出前の光景 画像処理ではなく、肉眼でも同様の景色である

西表島 上原港の朝 雲の造形は二度と同じものがない

西表島 朝の上原港 日本の西端近くに位置するこの島は、夏至の頃でも6時少し前に日が昇る

西表島 祖納港よりポイントに向かって走る 初日のリーフは鳩間島周辺、最終日のリーフは網取湾から祖納にかけてのリーフを狙った

西表島リーフ バラハタ 赤い魚体にちりばめられた紫色の点が美しい

リーフの釣りはフエダイの仲間、ハタ類の仲間、そして青魚を狙うという釣りだ。この為、GTを狙うようなヘビータックルではなく、かといって普通のトラウトタックルでは力不足である。僕が今回持ち込んだのはロッドはワールドシャウラとスコーピオンのパックロッド(2702R-5)と(2602-R5)。リールはC3000XGクラスで予備を含め三台。ラインシステムはファイヤーライン2号+40lbナイロンのショックリーダーというもの。

大型狙いの釣りではないとはいえ、何が来るかわからないのがリーフの釣り。もっとも、GTなどが間違って掛かったらなす術もないのだけど、20cmくらいの小型魚であっても信じられない引きなのが南洋の魚である。経験してみないと信じては貰えないかもしれないけれど、20cmであってもバイト後はとにかく浮かさないと珊瑚の下へ入り込まれて終わりである。また、ダツなどの厄介な魚もかなりヒットする為、ラインシステムだけに限っても更にリーダーを太くしても良いのかなとは思う。

西表島リーフ ヒメフエダイ 地元ではミミジャーと呼ばれている

西表島リーフ 釣り風景

西表島リーフ イソフエフキ

西表島リーフ アミメフエダイ 通称アメリカ(米国旗の縞に似ている)

西表島 仲良川河口付近

西表島マングローブ ゴマフエダイ(マングローブジャック) 水位が高く非常に苦しい中で出た貴重な一匹

マングローブの釣りについては今回は非常に厳しい結果となった。この釣りは潮が引いて水位が下がり、マングローブの支柱根が干潟に現れるというタイミングが良いのだけど、今回については水位が高すぎ、マングローブ林の奥まで水が満ち、魚が散ってしまっていた。

キャスト範囲では小さなチヌがルアーを追ったりもしたけれど、本命魚であるゴマフエダイはキャスト範囲に居ないという状況だったのだと思う。そんな中で出た1本のゴマフエダイは本当に貴重な1本となった。

そんな厳しいマングローブの釣りではあったけど、リーフとマングローブを比べれば僕はマングローブの釣りが好きだ。大型魚の期待もあるリーフも楽しいけれど、マングローブの釣りは至近距離でトップが楽しめるからだと思う。そんなトップの釣りだけど今回のガイドであるMOIの米澤さんは、「ミノーなど沈めたルアーの方が釣れると言われるけれど、そんな単純な話ではなく、今回の様な渋い時はポイントにルアーを置いておけるトップルアー(フローティングのポッパーやスイッシャーなど)が有利な事も多い。ポッパーやスイッシャーを小刻みに動かし、ポイントに浮かべている時間ととった方が有利な場合がある」という意味合いの事を言われていた。フライフィッシングの世界で行われるメンディングと同じ発想だね。

西表島リーフ 網取湾 写真では判りづらいが東海大学の施設が写っている

西表島リーフ カスミアジ 英名 Bluefin trevally ルーフでは釣ってみたかった魚で青い鰭が本当に美しい

カスミアジはリーフでは出会いたかった魚で、写真の通り透き通るような青い鰭を持つ。成魚ではあるけれど、釣れたカスミアジはごく小型だ。でも、今の僕はその美しい姿を見られたたけで十分。マングローブのゴマフエダイとともに姿を見られれば、それで満足な遠征だったと感じている。

西表島リーフ ヒレグロハタか?

西表島リーフ アオノメハタ

沖縄の魚は種類が多く同定するスキルもない。しかし、10年前は図鑑や画像をみて「これかな?」と判断していた作業がネット上の検索機能が強化されており、極端な話スマホ上で(Google)LENSを使えば近い回答にありつける。もっとも、亜種などの存在もあり本当に正確かと言えば疑問符が付くのも沖縄の魚たちである。フィッシングガイドさんは殆どの場合正しく教えてくれるけど、細かな分類はしないというのも沖縄流。

西表島 オキナワキョウチクトウ 目にすることが多い木だが、実をはじめとして猛毒を持つそうだ

西表島 浦内川河口

西表島 アダン 手前が伐採されて枝が丸見えとなっている 写真には写っていないが、リュウキュウイノシシの子供が顔を出した

西表島 上原集落のサガリバナ 夜に開花する

西表島 夜香花(ヤコウボク) この花も夜しか咲かない花だ

明け方前からカヤックで川を上り、日が昇った頃に水面を流れるサガリバナを鑑賞するツアーも人気だけど、花だけを観賞するのであれば大抵の集落でサガリバナの木があるようだ。以前、祖納へ宿泊したときもそうであったし、今回の上原でも同様であった。もっとも、日が昇り風が吹けば次々と花は落ちてしまう。この為、ツアーであっても集落の陸地であっても早起きは必須であろう。

西表島 ピナイサーラの滝 手前の干潟は以前は自由に立ち入れたのだが、世界遺産登録後は認定ガイドが率いるツアーのみが利用可能となった様だ

帰路 石垣島北部空撮

西表島2025 リーフとマングローブの魚たち

【番外編】今回の遠征で食べたものなどを掲載