2012 湿原の中へ

別寒辺牛川本流 支流との出合で頭上を丹頂が鳴き声と共に過ぎ去っていった。

 

丹頂の親子 コンデジではちょっと厳しかった被写体だ。

十勝時代に良く訪れた別寒辺牛川水系だが、ここ数年は河口域も含めて足が遠のいていた河川の一つである。大河である十勝川の魅力が深まった事もあるけれど、偶然にもこの時期に旅へ出る事もあり、何となくという理由とは言えない要因が重なったのだと思う。道東におけるアメマス釣りと言えば、釧路近辺の茶路川や音別川が有名で数も型も揃う釣り場だ。でも、僕は平日ですら人が多いこれらの釣り場は、遡上直後のいっときを除き、魅力を感じなくなっている。

別寒辺牛川水系の釣りは入渓点が極めて少ない事と、湿原特有の釣りづらさ。あるいは羆の心配もあるため、今でも混雑する釣り場とは言えない。一番難しいと思うのが、魚群の場所を簡単には探る事が出来ないことだろう。茶路や音別では、道路沿いを流下している為、幾らでも移動が可能だ。湿原を流れる川は別寒辺牛川だけではなく、容易にはアプローチすることが出来ないので、タイミングを外すと魚が居ないという事になるのだ。入渓点から移動出来る距離など知れているのだから。

別寒辺牛川の支流にて。対岸は広い湿原で、背後は丘陵である。

ロッドを葦の間に差し込み、尚且つ、正確さも求められる。

葦やシダ類、低灌木に覆われているこの川では、ティップだけのキャストが必要となる。上下左右、障害物に覆われているのだから仕方が無いのだ。この為、やや長めのロッドの方が扱いやすいと思う。また、足場が高い為、取り込みは基本的に抜きあげである。だから、ラインもロッドもライトクラスでは釣りにならない。

でも、こうした環境の釣りは一言でいうと面白い。倒木や対岸のバンク、足元すらポイントになる湿原河川は、ポイントを攻める楽しさがあるのだ。多少の濁りと湿原特有の色合いがある川だけど、足場が高い為、ルアーへアタックするエキサイティングな瞬間も目撃することも多い。基本はシンキングミノーでディープダイバーも有効だけど、万能なのはシンキングミノーかもしれない。特に対岸のバンクを攻める場合は、やはり重めのミノーが攻めやすい。

居着なのか、既に産卵後の個体なのかは不明。少しslimなアメマスであった。

遡上した砲弾型のアメマス。小型の部類だが、魚体の美しさは特筆ものだ。

橋から別寒辺牛川支流の流れを。川原は一切なく、溝の様な河川である。