道東を代表するアメマス河川である音別川や茶路川は、近年魚影が著しく減少している。サケマスの害魚として駆除されたという話が、釣り人の間でささやかれるほど、アメマスの魚影は少ない。実際の理由は誰も判らないのだが、人為的な駆除ではないと僕は考えている。音別茶路だけの話ではなく、道東の太平洋全域で著しい減少が認められるからだ。
海水温やベイトなど環境の変化が、アメマスの生息域に影響を与えたとしか僕は考えられない。今回の十勝川もそうだし、厚岸の別寒辺牛川でも往年のアメマスの濃さにはほど遠い。根室半島のアメマスもかつては信じられないレベルの魚影を誇っていたけど、その当時から比べると現在はかろうじて往年の名釣り場の面影を残しているのみ。
これらを全て駆除として片づけるのは、かなり乱暴な意見だと僕は思う。ただ、魚影が減少したと思われるタイミングで、野付漁協が「アメマスとホタテを交換する」などという看板を設置した事件?もあったりしたので、心証的に漁協を悪者にしたいのかもしれない。いずれにしても、本当の理由は誰にも判らないけれど、減少=駆除というのは短絡的過ぎると思うし、駆除だけでこれだけ広い範囲のアメマス減少は無理があるような気がする。
その中で当時、興味深い記事を「鱒や」さんが書いているので、記事をリンクしておきます。
前置きが長くなってしまったが、十勝川は今でも好きなフィールドだ。一昨年までは魚影は薄いとはいえ、それなりに良い釣りが出来た川なのだが、昨年は台風の影響が大きく、この時期に十勝川を目指す事はなかった。今年は早い時期から1度くらいは十勝川を訪れようと考えていたけど、天候や水位の関係で、ついに11月の最終週になってしまったという感じだ。
長年、同じ川で釣りをしていると、水位や気温にとても敏感になってしまう。今年はと言えば、平水と言えば平水だけど、例年に比べると20cmから30cmほど水位が高い時期が続いている。本流の釣りは出来れば、水位は低めの方が釣りやすいし、実際に釣れる事も多い。
魚影の薄さはネット上や仲間の話で想像はしていたけど、やはり反応は限りなく無いに等しかった。午前中、朝一番で入ったポイントは、岸の木が台風の影響で倒壊し、土手も崖となっており川に降りられる場所が非常に少ない。また、降りたところで移動も殆ど出来ない場所が多かった。そのため、歩く距離に比して、ロッドを振った回数もとても少ない。
魚影が少ない場合でもポイントを丹念に攻める事さえ行えば、少ないながらも反応はあったのが一昨年までの十勝川であった。しかし、台風の影響は魚影云々以前に、釣りが出来る場所を減らしてしまっている様に思う。かつての様に川通しに釣り下ったりが出来れば、今の魚影でも僕はそこそこの勝負が出来ると感じた。
しかし、現実はかなり厳しい釣りを強いられるのも事実で、今回の釣果は、昼近くである11時過ぎに釣り上げた1匹のみ。幸運な事にバレもせず、サイズは67cmとかつての十勝川であれば「まあ、良型」レベルなのだが、今となっては上々な結果だと思う。実際、数は釣れると考えていなかったので、今の十勝川は1本釣れるかどうかの勝負になると思う。1匹の価値が高い釣り場となってしまったと感じてしまうし、数釣りを目指すのであれば、十勝川は訪れてはいけない場所だと言える。
それでも、この川に通う釣り人は、広い本流でフルキャストし、重たい流れの中から鮭の様なアメマスを釣り上げる事が好きな釣り人だろう。嬉しい事に、数釣りが出来なくなった現在の十勝川は釣り人は稀である。それでも、何人かの釣り人には遭遇したけれど、広い十勝川であれば皆無に等しいレベルだ。かつては、入川場所に複数台の車が停まっていたりと、入る場所を考える必要があったけれど、今ではそんな余計な事を考えずに、好きな場所へ入ることが出来る。
かつての十勝川へ復活して欲しい気持ちは強いけれど、今の釣り人の少なさは、自分自身の釣りスタイルにマッチしている釣り場だと感じる。釣り人だから、沢山釣りたいと思う気持ちは勿論持ち合わせているけれど、混雑する釣り場だけは例え魚が釣れても行きたいとは思わない。