降水確率はかなりの予報だった土曜日の十勝川は、夜明けから暫くの間だけ、雲の切れ間に青空が見えていた。今年定番となった一発狙いポイントに朝一番で入るが、例年通り、反応は単発である。それでも一匹目が顔を出してくれたのは、それほど長い時間を必要とするわけではなかった。重量級のスプーンをフルキャスト。ジャーク&フォールというよりも、リフト動作に近いロッドアクションを加え、やがてスプーンがダウン側に流れた時、沖で反応があった。トラウト類の中ではアメマスの引きはしれているのだが、良型特有のヘッドシェイクと重さは独特のものがある。比較的近くまで簡単に寄るけれど、それから浮かんでくるまでが十勝川のアメマス釣りの数少ないスリリングさだと思う。
やがて浮かんできたのは65cmと、良型ではあるけれど大喜びする程のサイズではない。少なくとも、道東ではそうだ。それでも、やはり最初に60upが釣れると一安心するの事実だね。そこそこの一匹が出れば、精神的に楽になれるのだ。あまり調子の良くない十勝川といっても、一日釣れば坊主を食らうというレベルではないけれど、釣りを始めて一匹目を釣り上げるまではある種の緊張があるからね。開高健は何かの本で一匹が全て云々を書いていた事を思い出したけど、そこまで高尚ではないにしても釣りをして最初の一匹はやはり価値があると僕は思いたい。
その後、同じ流域を折り返し、帰りの途中で不連続二本と二度バラシ。余談だけど、一発ポイントは沖の地形か流れの関係で、魚のついている場所が決まってきている様な気がする。勿論、ウェーディングしながら他の場所も攻めているし、そうした場所からも魚は出るのだけど、やはり新しく魚のつき場が形成されたような気がする。もっとも、そこにアメマスが沢山溜まっているという感じではないけれどもね。そうした状況が僕が入った流域に関しては、今ひとつという評価に繋がってしまうのだ。もっとも、昨年まで数年絶好調であったウェーディングポイントが不調なのが痛いかもしれないな。入れば、その場所で型も数もある程度は間違いないという溜まり方をしていた場所なのでね。
それでも、今年は残り二回ほどアタックを予定しているけど、同じ場所を攻めるような気がするな。そろそろ越冬遡上の群が入ってくると思うので、魚も溜まり出すと思うからね。但し、11月下旬になっているのに例年の様な冷え込み方ではないのが気持ち悪い。20日前後になれば、朝は二桁近くまで下がっても不思議ではないのだけど、今年はまだ10月下旬の様な感じなのだ。日高の山も雪はまだだしね。何か妙な年である。