網走湖を訪れた最後が2008年12月と記録があるから、約5年前ということになる。暫く足が遠のいていたのは、やはり遠いという事につきる。十勝から札幌へ異動となってからも、数年は網走湖へ通っていたけれど、移動に6時間前後かかるという距離は、徐々にこの釣りを遠ざけてしまったのだと思う。そんな今年、久しぶりに千葉からA氏が網走湖へ来るという話を聞き、挨拶をかねて久しぶりの網走湖へ行こうと思ったのだ。
ワカサギは石狩管内でも釣れる場所もあり、また少し走れば、道央のダム湖などでも釣果は得られるようである。故に、わざわざ遠い網走まで行くこともあるまいと思うのだが、網走湖は魚影が圧倒的に濃いということと、浅い釣り場で手返しがよいこと、そして冬に遡上してくるホンモノのワカサギであるという事は大きい。ワカサギといえば、山上湖というイメージがあるけれど、それらの全て移植されたもので、本来は海に近い海と繋がっている沼などに生息している魚なのだ。
網走地方の気温は流氷が来る前は暖かいと思っていたけど、今回の釣行では1月とは思えないほどの冷え込みにみまわれ、車載温度計は明け方過ぎに氷点下23℃を指していた。仮眠から目が覚めた明け方には、釣り場の木々は霧氷となり、独特の光景が広がっていた。
どこの会場でも言えることだが、駐車場に近い湖上は多くのテントが並ぶテント村と化している。それはこの時期の風物詩であるけれど、釣りを考えた時、こうした場所は釣果にムラがあることが多い。広い釣り場なのだから、僕は人から離れ、のんびり釣りを楽しみたいと思うのだが、これについては価値観の違いだろう。
一昔前と違い、現在の網走湖は釣り場が限定されており、呼人と女満別それぞれのワカサギ釣り会場でしか竿を出すことは出来ない。例年、僕はかつて湖畔にあった湖畔荘という古い旅館の前を常にポイントとしていた。今年もこちらを目指したのだが、湖上に看板があり、立ち入り規制が入っている様だ。
厳寒であったこの日は、テントがあれば比較的寒さを感じず釣りをすることが出来る。この為、誰しも最初にテントを設営したがるものだ。でも、僕はテントより先にまずは穴開けと試し釣りが最優先だと思っている。魚影の濃い網走湖だけど、同じ場所でも穴の位置で全く釣果が異なる事も多いからだ。テントを設営してしまうと、移動が非常に面倒になる為、少なくともこの穴で良いと納得してからテントを設営すべきだと、自分自身は考えている。もっとも、魚影の濃い網走湖では全く駄目という事も少ないから、テントありきでも何とかなるのも事実。結局のところ、それは釣り人の考え方であるのでわざわざ書くこともないけれど、穴の位置は重要だという事は覚えておいた方がよい。
観光釣り場では穴開けのサービスを有料で行っているけど、30cmの違いで釣果が全く違う事もある釣りだ。観光ついでの釣りであれば、そうしたサービスの利用で十分なのだけど、自分の見立てで釣り座を決めたいという場合は、やはりアイスドリルが欲しくなってくる。
昔の網走湖は解禁はクリスマス前後の土曜日と決まっていたけど、近年は暖冬の影響で解禁日が徐々に遅くなってきている。今年は1月7日にようやく解禁となっている。網走湖においては、解禁日から暫くは爆発的な釣果を得られる事が多い。それは遡上したワカサギがまずは呼人湾を回遊するからだ。それから徐々に湖全域へ広がっていく。その意味では今回訪れた1月18日は、タイミング的には微妙である。悪くもないだろうけど、特別良くもないという時期であった。釣果情報(新聞などだから、アテにはならないけれども)などの数字をみても、好調とは言いがたい。
結果的には4束ちょいの釣果を得られたので、時期的な事を考えると上々の部類なのかもしれない。昔の様にタバコも食事も忘れ、竿を振るなんて事はしていないし、今回は仲間が集まったので後半はおしゃべりをしながら、かなり適当に釣っていたのだけど、それで釣れてしまうのが網走湖なんだよね。もっとも、久しぶりのワカサギ釣りも身体が覚えていたようで、糸ふけで反射的に腕が動いたから、まだこの釣りは錆び付いてはいなかったようだ。その意味で今回は本州から名手が来道されていた集まりであったので、各人の釣り方は勉強になる。特に小さなシモリは目に鱗であったね。
久しぶりの網走湖は、先週旅をしていた沖縄との寒暖差が40℃以上もあった事になる。訪れる前に冗談でそんな話を仲間としていたのだが、実際には30℃がいいところであろうと考えていた。それだけ寒い網走湖であったけど、魚影の濃さやオジロワシが頭上を飛ぶ素朴な自然は健在であった。