2008 湿原河川を釣る

この水系の今時期は、砲弾型のアメマスが遡上してくる
平地とはいえ、冷涼な地方 既に紅葉が始まり、川には無数の落ち葉が流れている
道東もこの時期だけは、ささやかな色を醸し出す

厚岸湾に河口を持つ別寒辺牛川は、多数の支流を集め、その多 くの川にアメマスが遡上する。産卵する群は、お盆過ぎに上流域に到達している事もあり、今時期に遡上する群とは異なる。釣り人に言わせるとアラスカ河川の様に、ファーストランとセカンドランがあるという事だ。真偽の程は僕には判らないけれど、タイミングを逃すと流域には遡上群が全く居ないという経験もあ り、産卵する群とは違った行動を取るアメマスがいるという事に間違いはなさそうだ。

例年、仲間と訪れる流域は決まっていて、縦横無尽に走る林道を奥深く入った場所だ。土地柄故、大雨が降ると林道は排水路となり、毎年の様に道に溝が走っている。今年も長く深い溝が道路に刻み込まれており、進入を躊躇うほどだった。この流域は携帯電話は通じない。もし、何かあれば数時間、羆の危険のある道を歩く羽目になる。しかし、この水系は僕にとって本当に魅力溢れる釣り場だ。周辺の雰囲気は、同じ湿原を持つ釧路川とも異なるし、同じ別寒辺牛川の下流部とも違う。原野なのは同じでも、木々も多い為、生命感を感じるのだ。また、河川規模が小さい為、バイトの瞬間を釣り人は何度となく目撃することになる。それが味わいたくて、この川に通ってしまうのだ。