2020 呼子の烏賊

佐賀県 呼子 加部島の杉ノ原放牧場

マイレージの有効期限切れが間近に迫り、土日という時間しかなかったのだが、どうせなら美味しいものを食べたいと、烏賊で有名な佐賀県の呼子を訪れてみた。無料航空券は距離に応じて使用マイルが増減するけど、不思議と新千歳~福岡は区間B(札幌~東京など)と同等のマイルなのだ。要するに同じマイルであれば、新千歳から一番遠い地という事になる。

呼子はイカの町である

呼子港にて

呼子(よぶこ)はリアス式の海岸の入り江に港があるという感じで、福岡からも1時間くらいという事もあり、玄界灘の海産物を求めて、ハイシーズンは多くの人が訪れるらしい。道路は狭い場所も多く、有名な朝市には宿から歩いて行こうと考えたけど、真冬で降雨後の早朝に大挙として観光客が訪れるわけもなく、朝食後、早めのチェックアウトをした後、臨港駐車場に車を駐車していた。

実際、朝市へ行くのであれば無料の駐車場もあり、今日はそちらもガラガラであった。ただ、奥まった場所に駐車場があるし、臨港駐車場も買い物程度であれば100円レベルの値段だったので、港を望む広い臨港駐車場の方が良いような気がする。この朝市は、元旦以外は毎日開催しているらしい。基本的には海産物であるイカの一夜干しや干物などが並ぶのだが、恐らくはオフシーズンであろう事と訪れたのは8時くらいなので、もう少し遅い時間であれば他の出店もあったのかもしれないね。

呼子の朝市

基本的には観光客向けだと思う朝市だけど、売られている物の品質は上々だと思う。イカなどは全国的に不漁が続いているので、値段も高騰しており、大きなケンサキイカなどは買うのを躊躇するほどの値段がする。それでも、今回はかなり勉強してくれたし、帰宅後、一枚焼いてみたけど、絶妙な塩加減とケンサキイカ独特の旨味が嬉しかったね。

呼子のマンホール

呼子の朝市 干しイカ

北海道ではスルメイカが大不漁で、最近ではイカ刺しを気軽に食べる事が出来なくなった気がする。呼子もイカの水揚げが激減している様で、名物である活イカなども提供できない場合もあったと聞く。活イカはともかく、スルメや一夜干しも水揚げに左右されるので、不漁が続けば価格も高騰する。特にケンサキイカやアオリイカなど、元々が高級と言われるイカは言うまでもない。

玄界灘のムラサキウニ

朝市では殻付きのウニやなまこ、鮑なども売られていた。鮑は北海道とは種類が異なり、かなり大型のものだ。ウニは今時期はムラサキウニが旬との事なので、一つだけ買い求め、その場で殻を割って貰った。その他の歩き喰いはサザエくらいかな。ウニとサザエで500円ほどなので、今の時代ではお手頃価格と言えるかもしれない。

呼子の朝市にて サザエの貝焼き

呼子の萬坊のイカシュウマイ

宿の朝食でも出てきたイカシュウマイだけど、呼子の町中に店を構える萬坊さん(テイクアウト専門店の方)がこのメニューを考えた老舗だとか。活イカなどが食べられるレストランで食べるのが定番らしいけど、朝市通りの隣にお店があり、営業していたので買い求めたのが写真のこれ。老舗云々はともかくとしても、イカを感じられる美味しい海鮮シュウマイだと思う。

宿の前は玄界灘 像は呼子大仏

呼子 尾ノ上Ryokanの夕食

呼子 尾ノ上Ryokanの夕食 カンパチ、鯛、平目のお造り

元々は国民宿舎だったらしい宿が、尾ノ上Ryokanさん。品数は多くはないけれど、お造りなどはとても美味しく頂けた。平目はともかく、北海道とは魚の種類が違うので、魚料理は何でも楽しみではある。

呼子 尾ノ上Ryokanの夕食 ミズイカ(アオリイカ)の活造り

北海道では冬場はヤリイカもとれるけど、基本的にはスルメイカが主体だ。スルメイカの場合、活イカよりも少し時間を置いた方が甘みが出てきて美味しいと考えているけど、ケンサキイカやアオリイカはスルメイカに比べ圧倒的に旨味が多いイカだ。それ故、活イカであっても旨味をとても感じるのだ。だから、個人的には今回の様な活イカはチャンスがあれば食べたいと思う。

ただ、スルメイカは身の甘さは少ないと書いたけど、ゴロの美味しさは活イカは別格だ。生臭さがなく、濃厚かつ弾力性をも感じさせるそれは、活故の美味しさなのだ。また、このゴロが豊富なスルメイカは、塩辛には外せない種類のイカだと思う。そんなイカの蘊蓄はともかく、今回の活イカは文句なしに美味しいイカでございました。

呼子 尾ノ上Ryokanの夕食 チヌ(黒鯛)の煮付け

呼子 尾ノ上Ryokanの夕食 ミズイカの天ぷら

宿の朝食 右上にある料理は魚のヅケ(漬け)。漁港近くの宿らしい一品で、味は一級品だ。これは食べてみないと、判らないと思う。

高級宿ではないけれど、今回の宿は流石に港町と思える料理が朝食のヅケだったと思う。食べてみるまで、何の料理なのか判らなかったけど、ワサビが添えてあるので食べ慣れた人はピンと来るのかもしれない。

この料理は魚の種類は違ったとしても、北海道でも食べようと思えば食べられるものだけど、この一手間を行う事が少ないのも北海道。朝から刺身を出す場合はあるけれど、ヅケとなるとやはり少数派だと思う。

寿司でもそうだけど、素材が良いと生でも美味しいものだけど、素材が良くて、更に一手間(仕事)をすると更に美味しくなるのが江戸前寿司の世界。その意味で今回のヅケについては、ご飯のお供として刺身よりは断然美味しいものだ。そうした点では、歴史のある本州以南の食を羨ましく感じる。