2014 晩秋の十勝川

かろうじて紅葉の名残を残していた。

かろうじて紅葉の名残を残していた。

十勝とは言え、下流域は根釧地方と雰囲気は同じだ。

十勝とは言え、下流域は根釧地方と雰囲気は同じだ。

アメマス釣りの場所としては北海道有数の規模であろう十勝川下流域は、十勝地方であるにも関わらず、河川敷の景色は根釧原野とあまり変わりがない。海霧が発生することも多く、冷涼な気候となっているのだ。それ故、豊頃から川に沿って南下するにつれ景色が劇的に変化していく。そんな十勝川のアメマスは早春、結氷していた川が開き、五月の連休を迎えるくらいまで。そして今時期から釣り場が氷で覆われるまでがシーズンである。もっとも、流速の速い中流部までいけば、釣る気になれば厳寒期の釣りも可能である。そんなところは釧路周辺となんら変わる事はない。

かなりシビアなフッキングである。

かなりシビアなフッキングである。

南十勝を流れる渓流群も大水のたびに川筋が大きく変わる川も多いけど、流石に十勝川は堤防が構築されており、その流れを大きく変えることはない。しかし、川底の地形は毎年の様に異なり、魚のつき場もそれにより微妙にズレていく。もちろん、これまで遠浅だった場所がドン深になるような変化は少ないけれど、川底の砂や礫の場所は大水が出るたびに少しづつ変化をしていくのだ。

この為、シーズン最初のアタックはこの細かな地形の変化を調べる事も目的の1つである。ただ、渓流とは違い常に濁りが入っている為、運にも左右される。遠浅といっても突然深くなっている場所もあり、そういう場所が事前にわかれば危険な目に遭うことも少なくなる。

そんな今シーズン最初の十勝川だけど、初日はパッとしない結果に終わったけど、2日目はちょっと気になるポイントがあり、遅い出発ながらその場所を探釣してみた。かなり長い距離があるポイントであったけど、そのなかの2カ所ほどで魚が多少溜まっていた様だ。シーズンが本格化すれば、広範囲に魚が溜まりそうな地形になっている。魚影が濃いとは言えないけれど、今後上流から下ってくるアメマスが間違いなく溜まるであろう。問題はそのタイミングである。

渡り鳥が本格化する頃、シーズン最盛期を迎えるだろう。

渡り鳥が本格化する頃、シーズン最盛期を迎えるだろう。

モノトーンの中で僅かな緑が見える。

モノトーンの中で僅かな緑が見える。

十勝川に立ち込んでいると、既に落葉した木々が多く、霧雨のような今日は正にモノトーンの世界であった。それでも、ふとした場所から河川敷の牧草地が姿を見せたりと、少し安心する自分がいた。荒涼とした景色の中で竿を振るという釣りを好む僕だけど、やはり心の中で寂しさと戦っているのかもしれない。

これくらいのサイズが十勝川のアベレージであろう。

これくらいのサイズが十勝川のアベレージであろう。

初日は釣れるアメマスは十勝川としては小型の部類にはいる40cmクラスのみであった。それでも2日目の今日は後半、なかなかのファイトを見せてくれたアメマスが釣れた。但しそれは今回の釣行の中ではという意味であり、本来は60クラスが連発する場所である。もっとも、昨年の不調を今年も引きずっている可能性もあり、こればかりは狙って釣ることは出来ない。ただ、春の河口は例年になく良かった今年なので、群さえつかまえる事が出来れば、それなりの釣りは楽しめる筈だ。

三連休である筈なのに、十勝川は釣れていないという情報が出ているのか、釣り人の数はとても少ない。ただ、この川で釣りをする釣り人の中には、同じ場所から一歩も動こうとはしない人を見かける。勿論、それが悪いとは言えないけれど、大河の釣りはポイントに執着し過ぎるのも良し悪しだと思うし、僕は魚を求めて移動する方である。どちらが良いかは判らないけれど、少なくとも入ったポイントから少しの範囲は狙ってみるべきであろう。

僅かに残る緑も来年までお預けである。

僅かに残る緑も来年までお預けである。