2010 秋の道南渓流にて

久しぶりに訪れた渓は、魚影も薄く、型も小型が多い。

ヌメリスギタケモドキ。外見が特徴的だよね。美味しいらしいけども・・・。
本流筋の魚影が薄く、沢を一キロほど上ると、滝が姿を現した。
一級品のナラタケだけど、最盛期には一週間ほど遅かった様だ。
北海道の渓流では、決して熊の存在を無視出来ない。
釣り人を拒むゴルジュ帯。正面の滝は沢であり、流れの筋は右側にある。

今年最後の道南遠征であろう今回は、実は釣りはそこそこでキノコ狩りを楽しもうと目論んでいた。先週、Shinya氏から頂いたボリボリ(ナラタケ)を自宅で食したけど、ダシが濃厚ですこぶる旨い。食感や見た目はラクヨウ(ハナイグチ)の方が良いけれど、ダシに関してはボリボリが数段上である。

今回のキノコ狩りは、最初に島牧周辺の川沿いを歩くという予定であったけど、先週入った太平洋岸の川の方が確実に採れるとShinya氏から提案があり、二台の車を入渓脱渓へ配置し、釣り下る作戦に切り替えた。ところがこの川は、楽に下らせてくれない川であった。ゴルジュや滝などが多く、川通しにはとても歩けない。高巻きを数回繰り返しなどという事は何処の川でもありそうだけど、今回は渓流なのに釣り下った事と巻ける場所もかなりの角度の土壁であり、上るのも一苦労である。一度は岩から滑落してしまったしね。

そんな高巻きを数回繰り返した時、その頂近くの斜面にお目当てのボリボリがあった。かなりの急斜面故、採取は大変だったけども、ここが無ければ他には朽ちかけたボリボリしかなかったから、運が良かったのだろうね。脱渓後、違う川筋をロッドを持たないで彷徨ってみたけど、見つけたのは熊の足跡と婚姻 色に染まったサクラマスの群だけであった。ただ、サクラマスには少し驚いたね。下流に砂防ダムがあり、一応は魚道が付いているのだけど、魚道など機能しているのかいな?と思っている人間なので尚更だ。本当は砂防ダムなど無用の長物だと思うけど、機能している魚道があれば川は死なないという事だね。

その夜は、BOB氏を交えて恒例の宴会。でも、僕もShinya氏もすっかりよれよれモードである。運動不足という事もあるけど、最初の川で苦労したのが原因だ。楽しい宴会だったけど、疲れているので酔いも早い。ビールの後、ワインを一本飲んだ時点でかなり酔いが回っていた。もっとも、その酔いは頭ではなく、体の急激な怠さだ。あと、美味しいキノコ鍋を食べたので満腹という事もある。ウィスキーだったら、まだまだ飲めたけど、そんなものを飲んだら朝は起きれんだろうなあ。

翌日は早朝より日本海側の渓へ向かった。BOB氏の友人である、KEN氏も合流したルアーマン4名のパーティである。向かった川は数年ぶりの入渓だったけど、流れは大きく変わってしまっていた。土砂が渓を 埋め尽くした感がある。青々としていた淵は埋まり、心なしか水量も少なく見える。シーズンも遅いせいもあると思うけど、魚影も薄く、釣れてもチビが殆どだ。途中、嫌気がさし支流の沢を遡行する。ここは本流筋より魚影は濃く、型も良かった。でも、ルアーを泳がせる距離がきわめて短い。ようするに落ち込みの プールしかポイントはないのだ。何度かこのような沢に入った事があるけど、ここまで来ると餌かテンカラの世界といったら大袈裟だけど、ルアー向きじゃない のは確かだろう。

一キロほど遡行すると、が「そろそろ行き止まりの臭いがするなあ」と仰る。流石である。次の曲がりの向こうに、落差は15mはあるであろう滝が現れたのだ。臭い云々は、日頃から何度も源流を行き来し、若い頃は登山をされていた氏の地形その他を読む能力であり、決して出任せや感ではない事は素人の僕にも判る。そして、彼の様な方がガイドをして頂けると、本当に安心して渓に望むことが出来るのだ。もっとも、僕は軟弱な体力しか持ち合わせていないから、案内して頂く渓流は、安楽な場所と いう但し書きはつくのだが。