2010 濃霧の十勝川

サイズに比して、大きな尾ビレを持つ個体が多い。
昼近くになると、ようやく霧がはれる。小春日和の中で竿を振る。
早朝から暫くは、濃霧に覆われる事が多かった。例年より気温は高いが、体感上は寒い。
1cmに泣いた大型アメマス。79cmと個人のレコードとなった。
幼鳥が多いが、この季節は丹頂が群で餌をついばんでいる。
十勝の二面性、緑と冠雪の風景。

 

先月末から今年4回目の十勝川遠征は、多くの仲間が釣り場に集った遠征でもある。遠くは沖縄、神奈川といった道外から、初冬の釣りをする為に労力を惜しまず集まってくる。十勝川下流部は、茶路や音別といった著名なアメマス河川に近く位置するので、スケジュールを組めば様々な釣り場で竿を出せる魅力の地でもある。でも、仲間は十勝川から離れる事は少ない。何が魅力なのかは、人それぞれだと思うけど、正に本流と呼ぶに相応しい、堂々たる大河の釣りに魅せられているのだろうか。

僕個人が十勝川を好きな理由は、広々とした中で竿を振ることが出来る事だろう。それと、この川で釣れるアメマスのコンディションが比較的良いという事もある。下り故、遡上時期の様な太さは殆ど望めない。でも、個体数に比して、餌が多いのか極端に細長い個体も少ないと思う。時期を考えると体色が明るいし、大きな尾ビレを持つ個体が多いのだ。

川が大きく、ポイントの数は無数にある。岸際がポイントとなっている場合も多いし、沖に魚が着いている事も多い十勝川は、Lure、Flyに関係なく楽しむ事が出来る川の一つ。個人的には、僕は沖合いを中心に川を探る事が多いかもしれない。それ故、常にフルキャストを繰り返している。岸も沖も同じくらい探って釣れば、釣果も更に伸びると思わないわけじゃないけれど、過去にこの川で掛けた大型は殆どが沖であり、それを狙うのが僕のスタイルだ。

群に当たれば、数釣りも可能な十勝川だけど、僕は数はそこそこ釣れればそれでいい。寄せても全く浮かない大型との出会いが望みなのだ。今回の遠征は、その望みに近づいたかなと思うアメマスが釣れた。26gのヘビーウェートのスプーンを文字通りのフルキャスト。底を叩く様に、リフト&フォールでバイトしたアメマスは、沖を縦横無尽に暴れ回っていた。寄せた後も全く浮いてこない。かつての僕は、こうした場面で勝負を焦り、魚を逃がしていた事が多かった。最近、変わったと思うのが、大型が掛かったとしても比較的冷静に対処出来るようになった事だ。

経験上、足元まで寄せて危険なのが、魚の反転時のラインの角度だと思う。特にLureの場合は口元に大きな物体が付いているので、下手な角度のテンションが加わるとフックアウトしやすい。書けば簡単だと思うけど、それを冷静に対処出来るかどうかの差が、近年の大型ランディング率の差となっているような気がする。意識しなくても、それが出来ている人も多いと思うけど、僕はそれが出来なかったのだ。冷静になる・・・その点だけは、昔に比べて成長したような気がする。そう感じた初冬の十勝川だった。