2013 秋の道南を訪れて

川原のない流れは、道南にしては珍しい。

川原のない流れは、道南にしては珍しい。

釣友と秋の道南でボリボリ(ナラタケ)を狙いに山林へ入るものの、早出のボリボリは既に朽ちており、晩秋の頃に発生するそれには、まだ早いという結論となった。移動中にパンをほおばり、訪れた場所は、夏にアメマスが溜まっていたという道南の渓流である。

道南の川は玉石か岩で形成される典型的な山岳渓流を思い浮かべるけど、この川は川原が殆どなく、平水でも常に濁りがある川のようで、確かにアメマスの雰囲気は濃厚である。橋から釣り下ってみるものの、夏に群れていたというアメマスは何処かへ移動してしまったのか、釣友が1匹ランディングした他は、バイトしてきたもののフッキングせずというレベルであり、釣果としてはコケたという表現が正解であろう。

反応があるのは、殆どがこのサイズ。

反応があるのは、殆どがこのサイズ。

ところどころで小型の岩魚(アメマスかもしれない)が遊んでくれるのだが、この川で閉口したのは蚊の存在である。森林香や防虫スプレーでは効かず、CHIGG AWAYまで塗っても、殆ど効果が認められない。その昔に売っていたディート成分が高いジャングルジュースに近い製品であれば、良かったのだが、発がん性云々で市場から姿を消してしまった。でも、例え多少発がん性が上がろうが、皮膚がボソボソになろうとも、昔の製品が欲しいと感じたのが、この川の流程である。道東の今時期、湿原河川でも蚊は多いけど、真面目な話、この川の吸血昆虫密度は、そのレベルではなかったのだ。

居着きの岩魚なのか、小型のアメマスかどうか区別が難しい。

居着きの岩魚なのか、小型のアメマスかどうか区別が難しい。

瀬とトロ場が続く川である。

瀬とトロ場が続く川である。

山では沢山のとんぼをみかけた。

山では沢山のとんぼをみかけた。

この時期で山に入れば、何処にでも飛んでいる蜻蛉だけど、やはり赤とんぼを見かけると、秋が来たんだなと感じてしまう。北海道の場合は、一気に朝晩が寒くなり、山からは紅葉の便りが聞かれるようになる。秋に禁漁のない北海道だけど、流石にこの時期になると、ヤマメはサクラマスと共に川の上流や支流に遡上し、岩魚は反応が今一つ悪くなる時期でもある。

巨大なテングタケ 白いイボは取れている様だ。

巨大なテングタケ 白いイボは取れている様だ。

僕は、決してキノコ類に詳しいわけではない。流石にラクヨウは昔から判っていたけど、他の美味しいキノコ類は食べる事はあっても、フィールドで同定出来る知識は数年前まで全く無かった。それでも、最近は美味しいと思うキノコは何種類か見分ける事が出来る様になったので、この時期は、楽しみな季節でもある。

そんな上の写真は、美味しいキノコ(らしい)。但し、旨味成分が毒であるというテングダケであり、写真では判りづらいけれど、根元には特徴である壺がある。テングダケは良く見かけるけど、ここまで立派なテングダケは、僕も初めてである。

ラクヨウ(ハナイグチ)を帰りに探してみたが、散発に終わった。

ラクヨウ(ハナイグチ)を帰りに探してみたが、散発に終わった。

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ラクヨウも場所とタイミング次第である。

帰りにラクヨウ林を歩いてみた。滅多に人が入る場所ではないと考えているけど、全く知られていない場所というものは、人工林であるカラマツ林の場合はあり得ない。それでも、広い林内を丹念に探せば、数食分のラクヨウを採取することは、難しい事ではない。

そろそろ山は紅葉が始まりつつあるようだ。

そろそろ山は紅葉が始まりつつあるようだ。

今回の旅では、野田追川上流にある桜野温泉熊嶺荘を初めて訪れてみた。過去にこの川を釣った時に近くを通りかかる事は何度かあったのだけどね。この宿、この周辺では、雲石峠近くのおぼこ荘と共に、携帯電話が通じない宿である。昔は携帯など存在せず、それが問題になることはなかったのだけど、今の時代、もしかすると圏外では泊まれないという旅人も多いのかもしれない。その証拠に三連休というタイミングにもかかわらず、宿泊客は僕らともう一組だけだった様だ。

それでも、僕はこんな山間の宿が好きだ。静かで瀬音が聞こえ、良いお湯につかる。糠平ダム近くの幌加温泉、改築前のトムラウシ温泉も似たようなに良いなあと感じたものだ。

熊嶺荘の露天風呂からは、野田追川を見下ろす形になる。

熊嶺荘の露天風呂からは、野田追川を見下ろす形になる。

熊嶺荘の部屋の窓から。正面に野田追川が望める。

熊嶺荘の部屋の窓から。正面に野田追川が望める。

道南の秀峰、羊蹄山。

道南の秀峰、羊蹄山。

道南へキノコを狙う場合、釣友と待ち合わせを行う場所は黒松内の道の駅。行きは中山峠を越え、国道5号線を南西へ向かうルートが多い。ニセコから真狩村辺りは、平地というより丘陵となっている場所も多く、晴れていると羊蹄山が映える場所である。今回は、少し雲が多かったけれど、まだ緑が多く、気持ちの良い景色に出会えたと思う。これからの時期、一気に寒くなり、次にここを通るのはセピア色に染まった頃だろうか。