2017 鮭の上る川へ

生涯を終えようとしている鮭 彼は何を思っているのだろうか

道内には鮭の遡上する川が多いものの、増殖河川などでは多くの鮭はウライなどの設備で捕獲され、産卵域まで遡上できるのは僅かな個体だ。ところがかつては放流事業が行われていた河川であっても、現在では稚魚放流を全く行っていない中小河川も多い。流域にダムなどの遡上を阻害するものがなければ、大昔と同じ様に上流域まで鮭が遡上して、自然産卵を行っている川も少なからずある。

こうした川では産卵でこぼれた卵を捕食しようと、鮭が定位した後方でアメマスが待ち構えている事が多い。この為、この時期の釣りはエッグフライへの反応が圧倒的に多く、ルアーなどではかなり厳しい釣りが強いられる。もっとも、全く勝負にならないわけではなく、岩の入った瀬や倒木下などを丹念に攻める事で魚を釣り上げる事は可能だ。但し、フライと異なり、反応するのは最初の数投のみ。魚卵を偏食しているアメマスから何度も反応を引き出すのは非常に難しい。可能な限り、一投目でバイトさせる事が求められる。

モノトーンの世界となっていた

これは別の渓流 こちらも木の葉は既に落ち、あとは雪が積もるのを待つばかりだ

流れ的には渓流域である釣り場も、周辺には牧場や畑も多く、少し離れた道路からも車の走行音が聞こえる。こんな場所で釣りをしているのだが、河原にのこされた羆の足跡がおびただしい。大きな足跡も多く、そう簡単に人前には出てこないとは思うのだが、今日も獣臭が漂っていた。イワナ釣りの様な最上流部も羆の不安があるけれど、最近では逆に人の生活圏近くの方が僕は気持ちが悪いと感じる。

今日の到着後、最初に行ったのは爆竹を鳴らし、羆へ人間の存在を知らせた。この爆竹も人的被害が出ているような場所であれば、逆効果という意見もあるけれど、そうでなければ、バッタリ遭遇が1番危険であると思う。今回は単独ではなく、釣友との複数アタックであり、そう簡単には襲われないとは思うけど、心配し過ぎて困る事はないであろう。

今年は羆の足跡は異様に多く、到着後は爆竹を数発鳴らした

釣友のファイトシーン 昔に買ったバンブーロッドで挑んでいた

まだ細い個体だが、倒木の下から引き出した会心の1匹である

ルアーでアタックした僕も釣果は褒められたものではないけれど、全般的に反応は今ひとつだったような気がする。釣り人は少ない流域だけど、数日前に仲間が流域を歩いており、直後の二番煎じと考えれば納得もいく。それでも、これ以上は不可能だと考えるほど、ピンポイントへのキャスト決まった時、奥の奥でミノーを喰ってきた。こうした1匹が出ると、寂しい釣果でも満足出来るものだ。まあ、釣れない釣り師のささやかな楽しみだろうけれど。