広葉樹の多い道南地方は、この時期、林間にはカタクリやエゾエンゴサクなどのスプリング・エフェメラルが咲き乱れている。木々の葉が伸びる前に開花し、夏前に地上部は枯れ、次の春まで地下で過ごす種類の植物をスプリング・エフェメラルというらしい。
そんな蘊蓄はともかく、今時期の林間は明るく、春らしい季節である。そんな明るい林間に咲く花は、どれも可愛く美しい。
まだ、左手は完治しているわけではないのだが、リールを巻くレベルであれば問題はない。心配なのは、渓で転んで治りかけの指を痛める事である。そんな心配をするのであれば、自宅で静養していればと思うけど、この季節はやはりフィールドに出かけて春を満喫したいと思う。
この時期にエンレイソウが咲いているとは思っていなかったが、オオバナノエンレイソウなどは見かける事はなかった。ニセコ辺りだと雪が解けると、林間には白い花を咲かせているのだが、植生が少し異なるのかもしれない。替わりにアズマイチゲが目を楽しませてくれた。
ギョウジャニンニクはキノコと同じで、訪れるタイミングが難しい。標高や日当たりによって生育具合は違うと思うけど、それだけ色々な場所を知っているわけではない。それでもちょっとした斜面を探すと、まだ食べ頃のギョウジャニンニクを見つける事はたやすい。
今回、ギョウジャニンニクを採取した場所は昨年の連休頃、イワナ狙いで入った流域に群生しているのを見つけ、釣友と1年後に狙おうと予定していた場所だ。残念ながら少し訪れるタイミングが遅かったのだが、その群落は見事である。川を遡行していくと、かすかにニンニク臭がするのを感じるほど、斜面はギョウジャニンニク畑となっている。