秋に道南を訪れるのは、釣友のガイドでキノコを採取することが、一番の理由だ。もっとも、キノコは降水量や気温に左右されるので、今時期は確実に採取出来るとは限らない。勿論、キノコ狙いだけではなく、その合間に山岳渓流を何本か釣り歩いた。
体重を落とせば、北海道における山岳渓流であれば、そこそこアタック出来ると思うが、遡行はともかく、渓の下りは膝の調子次第だろう。負担が一気に掛かるから、無理は出来ないのだ。もっとも、キノコ狩りだけではなく、渓を歩いたので1日の運動量としてはそれなりであった。
そんな秋の道南だが、やはり盛期のルアーを躊躇なく咥えてくる様な活性の高さはない。魚影はそこそこ濃いのだが、Uターンというパターンが一番多い。もっとも、盛期であっても、落差の大きな渓は落ち込みがポイントとなっており、ルアーを引く距離は短い。盛期で魚影が濃い釣り場では、ミノーが着水した瞬間、四方からイワナが飛び出してくる。
ルアーの場合は、反応してもせいぜい二投目まで。出来れば一投目で魚を掛けないと、見切られる可能性が高い。その意味で距離とキャスト精度が大切であろう。でも、このような山岳渓流は年に何度かなので、なかなか感覚が掴めない。本流や道東の湿原流で、釣りをし過ぎたからかもしれないね。
道南では多くの場合、最上流を遡行すると峡谷となり、落差のある渓流となる。道東に在住時代も日高山脈から流下する渓流群は、峡谷となっている川もあるけど、道東ではその流域へは足を運ばなかった。河川規模が大きく、狙いがヤマメであったからなのだが、道南では小河川が多く、河口から少し遡行すれば、落差のある流れとなっている場所も多い。
林道では蝉の鳴き声も聞こえるなど、まだ夏の気配が少し残されているけど、朝の気温は一気に低くなってきたようだ。遠征中日は、車載温度計での計測だが、明け方の気温は10度を指していた。
山林に入っても、まだまだ木々は青々としており、秋という雰囲気は少ない。今回の狙いはナラタケ(北海道名、ボリボリ)であったのだが、見事に外し、ナラタケは皆無であった。しかし、林内は多くのキノコに巡り会った年であった。
但し、その多くは不可食、ようするに毒キノコである。キノコは素人に毛が生えたレベルの僕なので、ベテランには釈迦に説教だと思うけど、判断出来ないキノコは絶対に手を出さないことが鉄則だ。昔から言われているキノコの迷信は、一切捨ててしまった方がいいと思う。美味しそうな色をしていても、毒キノコは沢山あるのだから。
ナラタケにはフラれてしまったが、ラクヨウ(ハナイグチ)は、まずまずの量を収穫出来た。その他、間違いなく食べる事が出来るキノコはタマゴタケであろうか。このキノコは過去に札幌の居酒屋さんにて、常連さんが持ち込んだ物を食べ、非常に美味しかった記憶がある。しかし、テングタケ科のキノコは毒キノコが多く、持ち帰るか?と言われると、ちょっとだけ勇気が必要である。でも、以前はソテーにして食べたんだけど、歯ごたえと旨味がある美味しいキノコだと思う。
このドクツルタケは1本が致死量と言われているキノコで、日本の毒キノコの中でも最悪最強に近いらしい。それも腹痛や嘔吐が一旦収まった後、一週間くらい後に内臓が破壊され死に至るという毒性があるらしい。いずれにしても、この手の白いキノコは自信を持って同定出来ない限り、手を出すべきではないという事だろう。
また、タマゴタケもそうだが、テングタケ科のキノコは、根元に繭のような「つぼ」がある事が多い。タマゴタケは可食だが、他のそれは毒を持つことが多いので、この手のキノコも手を出さない方が無難だ。