2010 秋近し道東にて

数日前の降雨が嘘の様に水量は落ち着き、水は澄んでいた。
太さはあるが、既に川の色になりつつある遡上アメマス。
知床 ペキンの鼻に日が昇る。
例年では、鱒が海岸を埋め尽くしているのだが。ようやく釣れたカラフトマス雄。
ペキンの鼻 釣り場全景。船着き場から奥に魚が群れていた。
 

切り立った海岸線が知床岬近くまで続く。
帰りに立ち寄った西別川最上流域。梅花藻が美しい。

8月の終わりに休暇を入れ、道東へ向かった。長丁場の釣り旅故無理は出来ないけど、初日は早朝より遡上アメマスを狙うべく、釧路の川を訪れてみた。数日前、まとまった雨が降り多少の増水と濁りを期待していたけど、その流れは平水かつクリアそのもの。悪い予感は的中するもので、薄暗い時間帯はそれなりの反応があったけど、陽の光が水面を照らす頃には殆ど口を使う 事は無くなってしまった。

午前中早々に遡上アメマスは諦め、知床へ向かう。宿には既に仲間が到着しており、早い時間からビールで安着祝い。夕食後、翌日に備え早々に就寝する。翌朝、宿を出たのは三時少し前の事だ。相泊までの道のりは、30分ほどだけど羅臼市街から相泊までは決して気を抜くことが出来ない。ここは、野生の鹿が本当に多い。住宅の脇から鹿が飛び出す事もあり、巨大な雄も多いので厳重注意の場所である。

お盆の頃は別として、この時期の知床は、平日でも釣り人は多い。漁港の混雑でそれを伺うことが出来る。今回の渡船先はペキンの鼻。僕はモイレウシと崩れ滝の経験しかなく、初めてのペキンの鼻は未知なる釣り場として、期待が高まる。船頭さんの話では、前日からの泊まり客を含め、釣り場には20人くらいになる様だ。それでも、到着時に竿を出していたのは泊まり客の一人のみ。流石に、二日連続で一心不乱に釣らなくても、十分という事なのだろうか。もっとも、知床のポイントはヒグマが出没しても不思議ではない。薄暗い時間は、番屋で待機という判断だったかもしれない。

釣果の方は、同行したFFM二人が先陣を切ってヒット。ルアーである僕は、全く反応がない。見かねて場所を譲って頂いたが、目の前に隠れ岩があったようでルアーのロストがひどかった。釣り場に到着して二時間ほど経った時、重たい違和感にアワセを入れるとようやく一匹目が乗った。盆の頃より二回りほど小さい雄で岸際では、少し手こずったけど、ファイトは既にスプリ ンターとは言えない。体色は良かったけど、入ったばかりの魚ではないようだ。

その後もアタリ無しの時間が続いていたけど、沖合で魚のもじりや跳ねが認められた。18gクラスのスプーンをフルキャストし、ようやく届くという距離であった。着水すると、四方八方にカラフトマスが逃げ惑うのが判る。本来でいえば、群の向こうに着水させるべきだけど飛距離はこれ以上は限界である。また、リトリーブを開始すると、フックやラインに魚が当たっているのも判る。正直なところ、これは気持ちいいものではない。それでも一度だけ着水同時にリアクションバイトなのか口を使ってくれたのは幸運であった。

結局、口を使ってきたのは二回のみ。スレで岸まで寄せた二本は、少し迷ったけど有り難く頂戴する事にする。ただ、このスレも全て着水直後に既にフッキングしていたもの。これを防ぐ唯一の方法は、竿を置くことだけだろう。ただ、やはり個人的には後味は宜しくない。ルアーやフライ等の疑似餌釣り師は、如何に口を使わせるかがその釣りの面白さだと僕は思う。まあ、それは正論だと思うけど、その価値観は残念ながら世の中には通用しない。残念ながらね。

数釣りが楽しめる8月後半から9月上旬のカラフトマス。でも、やはり初期のファイトは、魅力的だ。暴力的な走りは、この時期では余程フレッシュな群がいないと味わう事は出来ない。来年は早めに来ましょう。そう仲間と約束し、今年最後の知床を後にした。