2013 天空の山上湖

然別湖のオショロコマ

然別湖のオショロコマ

然別湖の方向には、天の川が。

然別湖の方向には、天の川が。

偶然、流星が写っていた。

偶然、流星が写っていた。上は、北斗七星。

深夜、然別湖へ向かう途中、仮眠を取ろうと扇が原に車を停めた。何気に空を見上げると、雲一つない夜空に、数え切れないほどの星が瞬いていた。扇が原展望台は、十勝平野の広さが判る展望台であり、本来であれば多少なりとも街の明かりがある。しかし、訪れた時、十勝平野は霧に覆われ、それが幸いしたのかもしれない。何枚か撮影したけど、正直なところ星の撮影というか長時間露光の撮影は、殆ど行う事がないので大変である。それでも、このサイズであれば何とかというレベルであろうか。

早朝の然別湖畔

早朝の然別湖畔

6時までの時間、桟橋近くで佇む。

6時までの時間、桟橋近くで佇む。

今年は晴天に恵まれた、然別湖。

今年は晴天に恵まれた、然別湖。

然別湖は、標高810mの山上湖である。阿寒湖で420mと言われているので、倍の高さがあることになる。それ故、気候も厳しく、長く氷に閉ざされる。また、小さな湖であるにも関わらず、水深も100mを超える。冷水性のオショロコマにとって、この湖水は海の様なものなのだろう。

グリーンバックと言われる個体。ルビー色の斑点がまぶしい。

グリーンバックと言われる個体。ルビー色の斑点がまぶしい。

背中の色により、グリーン、ブルー、ブラウン(バック)と呼ばれている然別湖のオショロコマ。何れの個体も、河川型のオショロコマに比べると湖水型のそれは体側の色は白っぽく、朱点も明るい。ただ、然別川水系に生息する河川型のオショロコマも、明るい体色をしている個体が多かったと記憶している。そう考えると、この水系全体が、独自の固有色を深めたのかもしれない。

まだ、冬眠明けなのだろうか。細く、色も濃い。ただ、顔つきは野生のそれである。

まだ、冬眠明けなのだろうか。細く、色も濃い。ただ、顔つきは野生のそれである。

然別湖周辺は、針葉樹と広葉樹のコントラストが美しい。

逆光に浮かぶ針葉樹と広葉樹のコントラストが美しい。

然別湖周辺は、この時期、新緑の広葉樹と針葉樹とのコントラストが美しい。釣れるオショロコマの美しさと共に、この地を訪れる理由の一つが湖周辺の景色だろう。釣りそのものについては、オショロコマはさほど面白いものではない。そう感じている僕が、毎年のように訪れるのも、この景色と美しいオショロコマに会いたいからだ。

シャクナゲ岬付近は、ブラウンバックが多かった。

シャクナゲ岬付近は、ブラウンバックが多かった。

パーマークが残る。サクラマスになる前の、湖沼型ヤマメ。

パーマークが残る。サクラマスになる前の、湖沼型ヤマメ。

然別湖にはオショロコマの他に、サクラマスとニジマス、あとウグイも生息している。僕の狙いは、オショロコマのみ。故に上の写真は釣りでいう外道である。ヤマメ特有のパーマークが残っており、サクラマスというよりもヤマメそのものなのだが、やはりヤマメは渓に住むのが美しい。然別湖のオショロコマは、生息数もサイズも昔に比べると、話にならないレベルだと聞く。減少の理由は僕には判らないけれど、本来オショロコマしか居ない湖水に、様々な魚がいる。勿論、人為的な移植によるものだけど、国立公園であっても、自然そのままで残っている場所は少ない。

僕が在来種しか釣らない理由が、この違和感を感じてまで釣りをしたくないからだ。その意味で然別湖のヤマメやサクラマス、そしてウグイも在来種ではあるけど、然別湖では外来種と言っても良い。難しい事を考えず、釣りを楽しめばいいのだろうけど、北海道という恵まれた地で釣りをしていると、年々そうした考えが強くなってしまうし、そうあって欲しいと思うのだ。

然別湖から山を下ると、そこは十勝の大地。

然別湖から山を下ると、そこは十勝の大地。

然別湖を下ると、広大な十勝平野が広がっている。この十勝という地は平野の殆どは開発され、畑作地帯となっている。こうした風景は、勿論人工的なものだ。しかし、僕は十勝の風景は美しいと感じる。恐らくそれは、日高山脈が東大雪、あるいは遠く阿寒の山々に囲まれている事と防風林が多く、木々の姿があるからだと思う。

近年、十勝地方ではガーデンが有名で、僕も何度か訪れた事があり、調和のとれた美しさを感じた。そうした視点で十勝の風景を眺めると、十勝そのものがガーデンなのかもしれない。そう感じてしまうほど、この地の景色が僕は大好きなのだ。そんな十勝の風景は、国道を離れて、交通量の少ない道を走る事をお勧めしたい。広さを感じたければ、南十勝。山や丘陵であれば、鹿追から士幌方面が楽しいと思う。

晴れの十勝に、日高山脈は映える。

晴れの十勝に、日高山脈は映える。