この川を訪れた事がある釣り人であれば、何処の川かは明らかであろう。それだけ旧国鉄時代の橋梁が多く残るこの川の流域は、どちらかと言えば平野流である。落差も少なく、広い川原を増水の度、川筋を替えて流れている。付近の河川を含め、北海道でも有数の魚影の濃さを誇る川で秋から春はアメマスの釣り場である。ただ、僕はこの川を訪れるのはお盆を過ぎた頃のいっときのみ。狙いは海から遡上したばかりのアメマスだ。
アメマスの遡上はお盆の頃から秋遅くまで続くが、やはりまとまった数が上るのは8月後半から9月上旬にかけて。年によってタイミングは異なるけど、トリガーとなるのは河川の増水だ。今年はお盆前後にまとまった降雨があり、恐らくファーストランは既に産卵場所近くまで遡上している筈だ。ところがお盆以降、降雨が殆ど無い。これに加えて道内誰しもが感じているであろう残暑の影響か、河川の水量が少なすぎる。毎年の様にこの時期に訪れているけど、これほど水量が少ない事も初めてである。
水量が極端に少ない為、元々チャラ瀬が多いこの川の流域にポイントは殆ど存在しなかった。ルアー釣りの場合はある程度深みのある瀬がある事が大前提であるけれど、今回そのような場所は皆無であった。少しでも深みがある場所を探してみるものの、そこにはこの川で見たこともないような多くのサクラマス。一つの溜まりで数十匹は楽に群れているので、とても釣りにはならないのだ。
結局のところ、この釣りはタイミングが全てである。回遊性もしくは遡上魚を狙うには、それを外すと釣りが成立しない。今回、ルアーに出たのは小型のイワナとヤマメのみ。一度、アメマスかと思うような魚が追ってきたけど、近くでみるとサクラマスである。ちなみにこのサクラマスは、川での釣りは厳禁である。リリースを前提にしていても、法は適用されるから注意することだ。