厳美渓

厳美渓 あまりの暑さに日中の寺めぐりは避けた方が良いと、予定外の景勝地を訪れたもの。水が少なく残念だったが、日陰は瀬音も聞こえ暑いながらも涼しさを感じた。
岩手県は北海道ほどではないにしても、広い県であり短時間の旅では訪れる場所も限られてしまう。そんな制約の中でも外せなかったのが中尊寺などの古寺と三陸海岸である。三陸海岸については気仙沼までは訪れた事があるものの、三陸と呼ばれる地域の王道は岩手県であろう。そんな岩手県のリアス式海岸をこの目で見たかったという理由もある。(注:現在の学校教育ではリアス海岸表記らしい。その違いに興味があれば自由に調べて頂くとして、自身のサイトではリアス式と記載することにする。)
この旅は広い岩手県を効率よく回ろうとする事を基本として、中尊寺などの古寺は内陸部にあるので、比較的涼しい朝から参拝するのが望ましいと考えていた。同時に北山崎の遊覧船と宮古の浄土ヶ浜は時間的に両立しないと判断し、実質の初日である30日の朝、宮古へ向かおうと思った矢先に発生したのがカムチャッカ半島の地震である。
結果的に目論見が大きく外れ、影響の無い平泉へ向かった。そんな波乱のスタートであったものの、訪れる場所は全て興味深く、結果的に良い旅になったと思う。
達谷窟

達谷窟(たっこくのいわや) 弐之鳥居
達谷窟は寺院なのだが鳥居があったりと神仏分離前の歴史を感じられる寺である。この寺院は通りかかって立ち寄ったに過ぎないのだけど、こうした旅もまた良いものである。結果的にこうした歴史に触れられたのだから。

達谷窟毘沙門堂
平泉

中尊寺蓮 800年前の種から育った蓮とのことだ
中尊寺蓮は金色堂に安置されている奥州藤原氏四代泰衡公の首桶から見つかった蓮の種が由来の蓮で、発見は1950年という事だ。奥州藤原氏の滅亡は1189年とされているので、発見時でも750年以上の前の種である。その種の発芽に成功した蓮を元に各地に中尊寺蓮が広がっていたとの事である。

奥に見える覆堂の中に金色堂がある 内部は撮影禁止
金色堂内部は撮影禁止であり、詳しくは中尊寺のWEBサイトを参照して欲しい。金色堂は国宝の登録番号は00001であり、一番最初に国宝として指定された歴史を持つ。今でも奥州藤原氏のご遺体が堂内に安置されており、霊廟としての存在も大きい。金色に覆われた金色堂だが、柱には螺鈿細工も認められ、時代を考えると素晴らしい技術で作られた事が判る。

中尊寺 本堂付近から金色堂に向かって

平泉 毛越寺にて 大泉が池 寺の名前は「もうつうじ」と読む。寺の公式サイトにも読み方が書かれているくらいなので、普通は読めない。
毛越寺は史跡跡である。江戸時代は水田になっていたようで、近代になって本堂などを再建したものとのことだ。CGで作られた動画では宇治にある平等院鳳凰堂ににた門が建てられていたようだ。

平泉 毛越寺 出島石組と池中立石
大船渡

大船渡 碁石海岸に咲いていたヤマユリ
ヤマユリは栽培されていたものが野生化している例はあるようだが、北海道への自生する種ではないとのことだ。実際に山中で僕もヤマユリを見たこともないので、岩手に自生しているヤマユリをみたときは何のユリか現地で調べたほどだ。白く大きなヤマユリは山中でもとても目立ち、開花時期は夏季(7月から8月らしい)という事もあり、暑い中での清涼感を与えてくれる。

大船渡 碁石海岸の赤松 枝ぶりがとても見事である

大船渡 碁石海岸 三陸の荒々しい海岸線を望む
碁石海岸を訪れた際はまだ津波注意報が発令されており、海岸へ向かう道路は通行止めとなっていた。碁石海岸にある展望台への観光は問題はない。

大船渡 碁石海岸 雷岩·乱曝谷展望台 左が雷岩でその間が乱曝谷

大船渡 碁石海岸 スカリユリが咲いていた 北海道のエゾスカシユリとは開花の時期が異なっているようだ
北海道に自生するエゾスカリユリはスカリユリの亜種と言われており、ぱっとした見た目は同じ種としか思えない。スカリユリの場合、太平洋側と日本海側では開花時期が微妙に異なるようで今回のような太平洋産は7月から8月との事だ。ちなみにエゾスカリユリは6月中旬くらいから7月中旬までと言われているけど、石狩海岸では7月の頭には終焉している事が多いので、地域差や僅かな種の違いはあるようだ。

大船渡 碁石海岸 千代島を望む

大船渡 碁石海岸 遊歩道からの海景色
碁石海岸も水辺を訪れてみれば少し違った顔を感じることも出来そうだけど、今回は運が悪かったとしか思えない。ただ、盛岡などと違って太平洋岩沿いの為、気温はかなり低く過ごしやすかったので、観光は楽しめたと思う。

大船渡 碁石海岸 遊歩道より大船渡方面を

のどかな大船渡湾 手前は牡蠣の養殖 防波堤近くはワカメの養殖とのことだ そんな地を津波は過去に何度も到来しているのだろう。今でも震災の写真や動画を見ると心が痛む。

朝霧の大船渡市街地方面
田野畑村 北山崎

田野畑村 北山崎 第一展望台より三陸海岸の景色を
最終日は北山崎をクルーズ船で観光する予定であったけど、恐らく台風の影響で波が高い予報が出ていたのだろう。遊覧船は全て欠航となってしまった。津波警報と共に運がなかった旅だったかもしれないけれど、展望台から見えたこの景色だけで満足してしまった。

田野畑村 北山崎 第一展望台より三陸海岸
宮古 浄土ヶ浜

宮古市 浄土ヶ浜 海水浴場にもなっており、美しい景色と俗世が混じっている感覚を感じた
宮古では定番と思われる浄土ヶ浜の観光をしたものの、手前の浜が海水浴場となっており、美しい景観と共に俗世的な雰囲気も感じてしまう。この浄土ヶ浜の遊覧船が営業しており、それに乗った方が景色としては楽しめるのかもしれない。今回についてはレンタカーその他の予定が詰まっており、遊覧船という選択肢は全く無かった。
旅のグルメ

盛岡 盛楼閣 冷麺
写真には写っていないが、盛楼閣は焼肉店の為、実際にはロースと生ラムも食べている。盛岡と言えば冷麺やわんこ蕎麦、じゃじゃ麺というご当地グルメがあるのだが、僕はあまりご当地グルメを必ずも食べなければならない義務感のような気持ちは希薄である。それでも、冷麺を味わってみて独特の食感(コシがものすごい)を感じ取れたのは良かったと思う。

盛岡にて 夜に立ち寄った居酒屋さんにて馬肉のユッケ 久しぶりにユッケという料理を食べたような気がする。

平泉ホテル武蔵坊さんの夕食 リーズナブルな価格であったが、清潔感や料理の質はとても良かった宿である

毛越寺境内にある松風庵さんのナメコおろし蕎麦 軽い気持ちで入ったのだが、非常に美味しい蕎麦だったと思う。東北は全般的に蕎麦のレベルが高い土地だね。

大船渡温泉の夕食 お造り こちらの宿も料理の質は非常に良かった

大船渡温泉 今回楽しみにしていた三陸産の生ウニ(キタムラサキウニ) 想定よりも大きく、味も絶品であった。北海道にも生息している同種だが、結局のところ味は餌に左右されるという事だろう。

大船渡温泉の名物 カジキマグロの兜煮 グロテスクではあるのだが、本当に美味しい。料理後半に運ばれてきたので味見程度だったが、酒とこれがあれば満足というレベルの味わいである。

宮古 蛇の目本店 価格的には一番安い生ちらしだが、味は一級品かつ、普通では無いネタも入り楽しい昼食であった。