マングローブで釣りをするのは、一昨年に続き2回目の事だ。最初の釣りでトップウォーターの楽しさを感じ、再訪したいと考えていたのだ。ガイドは、前回と同じローカルフィッシング西表マリンボックスさんである。前回は小型ボートでナカラ川を釣り、その雰囲気に魅せられて同じコースを予約したのだが、今年はカーチバイ(夏至南風)が全く収まらず、ナカラ川やクイラ川へのアタックは不可能であった。
祖内漁港より海を経由しアプローチする必要があり、波高いと小型ボートでは出船すら出来ないのだ。もっとも、それは海の釣りも同様の様でリーフ内でも厳しく、リーフエッジや外洋ポイントは行く場所が限られる様だ。
そんな事情もあり、エレキ付きのカヌーで浦内川を釣り上った。この浦内川は沖縄県では最大の河川であり、流程も長い。河川規模が大きい為、ポイントは無数にあるものの、デメリットとして観光船が就航する河川故、秘境西表らしい釣りが少しだけスポイルされてしまう事だろう。あと、出船前から懸念していた潮回りは、現地で聞いた限りでもやはり今ひとつ良くない様だ。大潮だが干潮が昼前後。入川時はかなり水位が下がっており、厳しいかもしれないと言われていた。もっとも、潮具合だけをみて旅程を決められる筈もなく、こればかりは西表へ行けた運とそのタイミングに身を任せるしかないのだ。ちなみに理想は満潮で川に入り、干潮まで釣り下るというコースらしい。
この釣りでの対象魚は、なんといってもマングローブジャック(ゴマフエダイ)であろう。勿論、汽水故にガーラ(アジ)やテッポウウオ、小型のターポン、フエダイなども釣れる釣り場であるけれど、それらは場所が限られていたり、数が少なかったりする。狙って釣れる魚としては、先のマングローブジャックとミナミクロダイ(チヌ)だろう。
この日の釣りは、午前中は何度か反応があったものの全てバレ。腕が悪いと言われればそれまでだけど、TOPの釣りではバイトした瞬間にアワセを入れるとすっぽ抜ける事が殆どである。ある意味、アワセを入れない方が釣れるかもしれない。ガイド氏との会話でもトラウト系の釣り人は早合わせが多いそうだ。しかし、こればかりは身体が自然に動いてしまうので、言うは易く行うは難しである。
また、今回は釣果は落ちてもTOPで釣りたいと、ポッパーとペンシルばかりを使っていた。しかし、確実な釣果を得るにはミノーを使った方が間違いないと思う。やはり、TOPはそれなりの活性が上がっていないと、魚はいても反応しない事も多いようだ。その証拠にポッパーを使用し無反応であったポイントで、「ミノーを流して」とのアドバイスで1発で喰ってくるシーンがあった。そのポイントでは、もう1匹バラしたものの、ミノーに喰ってきたのだ。それ故、TOPにこだわらずミノーを使えば、数倍の釣果は得られたと思う。
もっとも、それは一昨年の釣りでも判っていた事であり、今回TOPを多用し、釣果が落ちた事は全く後悔はしていない。元々、何十匹も釣れる数釣りの部類ではない釣りだ。釣って楽しい釣りが一番なのである。
マングローブジャックは、マングローブ種であるヒルギなどの支柱根や岸際の岩陰に隠れている事が多い。それ故、ポイントは殆どの場合、岸際になるのだが、移動中遊びでポッパーを川の中央へ遠投していたところ、突然のバイト。1発目のアタックは手応えは感じたのだが、すっぽ抜けた。ところが再度水面が炸裂し、二度食いしてきたのが写真のバラクーダである。
この魚、厳つい顔と同様にかなり獰猛な性格をしているようだ。このバラクーダは海の含めると小型サイズだろうけれど、川のそれとしてはあまり見かけないサイズらしい。大きくても40cm前後らしいのだが、この個体は目測で50cm近くあった。外道故に型自慢もなにもないのだが、ある意味で今回にふさわしい一匹だったのかもしれない。
観光船でも潮位により、マングローブらしい支柱根を見学することが出来るけど、カヌーの視線からそれをみると、また違った雰囲気を味わえる。上の写真は浦内川最下流に合流する支流域のそれだが、県道脇の展望台から眺めて広大なマングローブ林のある場所に支流が流れていた。生い茂った林は支流の姿を隠していたのだが、水位によっては多くの支流に入る事も可能だろう。その意味で仲間川や浦内川など大きな河川は魅力があるといえる。
西表滞在2回目はガイド付きながら、自力でカヤックを漕ぎ、竿を振るというスタイルに挑戦してみた。お願いしたのは狙っている魚と同じ屋号であるマングローブジャックさん。カヤックの経験は何度かあるので操作は何とかなるのだが、干潮に向かった流速のある川と強風に翻弄された日でもあった。また、今年の西表は最低気温が29度、最高気温は33度前後と例年の今時期よりも暑い日が続いていた。
地元の方に聞いても、口を揃えて今年は暑いと言われているので、北海道人だけの感覚ではないようだ。勿論、晴れの天気が続いているので日差しも強い。日焼け止めもたっぷり塗ったつもりでいたのだが、この日のカヤックではパドルからの水しぶきと汗で、薬剤が思った以上に流れ落ちていたようだ。膝から下が真っ赤になっており、サンダルのベルトの跡もくっきり残ってしまった。
沖縄の紫外線は十二分に承知していたつもりだけど、やはり慣れという油断もあったのかもしれない。暑さとのトレードオフになるとしても、極力肌を出さないことが一番であると悟った西表釣行であった。
また、訪れてみたい西表だけど、次回はカーチバイを外した時期に、思い通りの川をセレクトしてチャレンジしてみたいものだ。
<釣りの様子をウエアラブルカメラで撮影し、1本の動画にまとめたものが、下の動画です。設定で一応はFHD再生が出来ます。>