白糠から釧路を中心とした道東の太平洋岸は、昨年は記録的な不調であった。河川への遡上数も目立って少なく、今年の太平洋岸も過度な期待は出来ないとアタック前に考えていたのだが、実際に数カ所の転戦を行い、朝から晩まで竿を振り続けた結論をいうと、今年も厳しいということであった。
勿論、一度の遠征で全てが判るわけはないし、実際、群が外れていただけかもしれない。それでも、一昨年までは不調な日であっても、この時期特有の太く力強いアメマスに出会えたものなのだ。いずれにしても、一昨年までのように何十本も釣れるという釣果は暫くは期待しない方が良いであろう。
もっとも、もともと魚影濃い釣り場なので、群に当たればそれなりに楽しめるとは思う。但し、長い海岸線の何処に群がいるかは運次第であろう。
太平洋岸は、波よりも濁りが問題になる事が多い。もっとも、場所にもよるが、釧路周辺は波打ち際近くに崖が位置している事も多い。うねり性の波である為、日本海のそれとは異なり、2mを越えると危険を伴う場所も多い。しかし、例え波が落ちていても、太平洋は常に何処かが濁っていると思っていた方が良い。恐らく、上空からみると、濁りの大きな塊が海流で前後左右に移動しているのであろう。
突然濁ってきたり、その逆もあり得る。波がない場合は多少サーフを歩くだけで、濁りの塊から外れる事も多い。考え方かもしれないが、入った場所から殆ど移動せずに竿を振り続けている釣り師も多いけど、やはり周辺の状況をよく観察し、速めに移動を判断した方がよい。
今回は従来の数カ所あるポイントだけではなく、地図と実際の海岸を走り、新たな場所でも竿を振ってみた。残念ながら全く魚のコンタクトは無かったが、この釣りは群次第の釣りだと僕は思っている。今回駄目であっても釣れないと判断するわけにはいかない。季節や群のタイミングで逆の可能性もあるのだから、過去の釣果に執着し過ぎず、時間があれば色々探っていきたいと思っている。
そんな海岸線は、今が花のシーズンであった。この場所は釧路ではなく十勝管内なのだが、海岸線は霧の多い冷涼な気候だ。そんな場所でエゾカンゾウ(エゾゼンテイカ)をはじめ、ハマナスやヒオウギアヤメ、エゾノシシウドなどが咲き乱れている。十勝の魅力はこんなところにもあり、著名な原生花園より規模は落ちるであろうけど、身近にこんな場所があるのだ。