防虫剤の話

3M社 ウルトラソン 通販では入手可能 これはDEET成分が34.34%

北海道の野外フィールドで1番に避けたいのが熊などの猛獣だけど、蚊などの吸血昆虫なども場合によっては自分の身に深刻なダメージを与える場合があり、出来れば避けたいもののひとつ。特にダニ類やヤブ蚊はそれを媒介して感染症に罹患する可能性があり、可能な限りそれを防ぎたいと思う。

[DEETとイカリジン]

市場にはこうした害虫に対する忌避(きひ)剤や効果があると言われているものがあり、それは天然由来のハーブであったり、DEETなどのケミカルであったりする。人それぞれの経験や体質により、実際に刺された云々の結果は変わってくるけど、間違いなく効くのは高濃度のケミカル製品だろう。

ケミカル系ではDEETが有名で、昨年、日本国内でも濃度が30%という製品が認可された(従来は12%が最高濃度であった。但し、海外では30%前後が普通なので、ようやく世界水準になったという話)。また、DEETのかわりにイカリジンという成分を含んだ忌避剤も発売されており、DEETに比べて少ない濃度で効果がある事や副作用の少なさを謳っている。

確かに試験結果をみると同濃度のDEETよりは効果が持続する様だ(参考資料)。ただ、イカリジンについては日本国内では15%が最高濃度の様で、メーカーの説明によるとこれはDEET 30%と同等という事になるらしい。

ちなみにこうした忌避剤の濃度は、直接比例するのは持続時間であり、塗った直後は低濃度でも効果はしっかりある様だ。つまり濃度の違いは効果持続の持続時間という事だ。

その意味でイカリジン15%は悪くないと思うけど、イカリジンの効果は蚊成虫、ブユ(ブヨ)、アブ、マダニとなっていおり、他の害虫やヒルなどにも効果があると言われているDEETよりも守備範囲は狭い。蚊対策としては有効だと思うけど、マダニ以外のダニ類(ツツガムシ)には効かない様なので、本州方面や東南アジアへの旅行などでは素直にDEET成分を含んだ忌避剤が無難の様な気がする。

国内メーカーの製品はスプレーやリキッドタイプが多いけど、どちらが良いかはケースバイケースだろう。衣服の上からや頭髪に用いる場合はスプレーが有効だと考えているけど、手や腕、首などは個人的にはクリームの様な製品の方が汗で流れにくいと思っている。

その意味では防虫のメインにウルトラソンなどのクリーム(DEET系)+30%濃度のDEET系か15%濃度のイカリジン系忌避剤スプレーの併用がベターだと思う。スプレーが良いなと思うのは、例えば帽子の上からでも頭部へ塗布できるため。ミストタイプでも良いかなと思うけど、あの容器は携帯性が悪いのでこれまた一長一短か。もっとも、ウルトラソンと書いたけど、濃度的には国産品も30%濃度の製品を発売しているから、無理に通販などで買う事もないのかなとは思う。

ただ、クリームというかローションタイプの製品なので、多少の汗ではその保持剤のおかげか流れにくい様な気がする。

国内メーカーで30%濃度の製品が買えるようになったのは有り難い

[ハーブ系の虫除け]

ハッカ油の様な天然由来は、安心という意見がある。個人的な考え方では天然由来だから、身体に優しいなどとは思っていない。自然の中には人間に害のある物などたくさんあるのだから、天然由来だから安心ではないよね。でも、ハッカの香りはすがすがしいので自室にも置いているし、実際に使っている。

でも、僕はハッカ油はフィールドの虫除けとしてはあまり効かないと感じる。特に夏から秋にかけてのヤブ蚊やブユなどの蚊は、素直にケミカル使用を勧める。実際にハッカというかミント系の香りには、忌避効果は確認されている様だ。但し、ケミカル系に比べ、効果の持続性が短いらしい。つまり、こまめに使用するなら、効果はありそうだという事。でも、そうなると費用対効果はどうかなとは思う。

これは知人に譲って貰ったもので、CITRONELLA(イネ科)が10%というもの

これは国産のハッカ油

[Chigg Away]

話は少しそれるけど、アウトドア店などではChigg Away(チグアウェイ)という製品が売られている。「DEET不使用」「米軍御用達」なんてコメントが売り場で説明書きであったりする。このChiigg Away、商品名のChiggはツツガムシ類(要するにダニ)の事なのでダニよけという事だろう。

成分がサルファ(硫黄性成分)10% ベンゾカイン3% その他(水など)87%となっていて、サルファは抗菌剤としても使われるらしく、ベンゾカインは局部麻酔作用があるあるらしい。実際、ダニは硫黄の匂いを嫌うようなので、サルファ成分の匂いでダニを遠ざけているのかもしれない。ベンゾカインはかゆみ止め(かゆみというのは、僅かな痛さであるのでね)だろう。

ここまでは問題ないんだけど、この製品、ネットも含め、店によっては他の虫でも効くような形で売られているし、宣伝されている。でも、硫黄の匂いってアブとか蚊、ブユに何処まで効くんだろうか?

硫黄というか実際には硫化水素に匂いだろうけど、その理屈で行くと、この手の温泉地では吸血昆虫は寄ってこない事になるよね。ただ、色々調べてみると温泉地では吸血昆虫が、少ないのは事実としてあるようなので、一定の効果はあるみたいだ。ただ、臭いが理由なのかは判らない。温泉水にボウフラが発生しないという事もありみたいなので。

僕は専門家ではないのでサルファ成分が、ツツガムシ以外の虫に効くかどうかは判らない。でも、こんな事を書くのは、過去に使ってみて、抜群に効いたと実感したことがないからだ。それに優れた効果があるのなら、国内メーカーの忌避剤に使われていても不思議じゃないと思う。でも、入っている製品は見たことはないのだ。

Chigg Awayはエアーイズムという会社が輸入販売している様で(調べたら札幌の会社だ・・・)、こちらのHPにあるChigg Awayの説明で、次のような事が書いてある。

  • ほとんどの吸血害虫(蚊、ブヨ、ダニ、蚤など)が嫌う香り
  • 米軍では主にツツガムシ対策としても使用

それを考えると、正直なところChigg Awayという商品は、ツツガムシ対策としては有効だろうけど、藪蚊などの対策としてはかなり怪しいと感じている。ただ、巷の紹介ではバッチリ効きますとかレビューしている人も居たりして、本当のところはどうなのか判らない。

まあ、硫黄臭が強い薬剤なので、ハッカ油の様に香りで虫が遠ざかるという作用はあるのかもしれない。それ故、効果なしとは言わないけど、最強云々はかなり眉唾もの。米軍御用達は嘘じゃないと思うけど、熱帯の蚊対策に使っているなんて何処にも書いていない。

結論は個々の判断に任せるけど、個人的な意見をいえば、蚊やブユなどの対策として効かないとは言わないけど、巷で言われている「米軍使用」というのはツツガムシ対策としてであって、それを混同して(何でも効く)最強の虫除け剤のような効き目は得られないというもの。

ただ、硫黄の臭いは害獣などには一定の効果があるようで、高純度の硫黄粉末が売られていたりする。しかも、かなり安いので、硫黄で虫除けという事であれば、香り袋の様な形で使った方が安上がりの様な気がする。また、このクリームは伸びが悪く、肌にまんべんなく薄く均等に塗るという事が難しい。硫黄(サルファ)の忌避効果の度合いが高いとしても、臭いで忌避効果を得ているというのであれば、肌に塗る必要は尚更ない。

実際、過去にこの薬剤を塗った時の感想をサイトに公開していたので、リンクしておく。4年も前の話だけど、この製品を買ったのは、それより前だったと思う。

2013 秋の道南を訪れて

この頃は秋なのでヤブ蚊の食欲が勝っていたのだと判断していたけど、今考えると刺されて当然のような気がする。製品の名誉の為に書いておくと、輸入発売元の説明では、蚊などの害虫が嫌う匂いのするクリームですと書いているだけで、虫除けで最強とは何処にも謳っていない。

最強云々というのは、如何にもミリタリーというようなボトルデザインだし、軍御用達=最強最高との勘違いもあるのかもしれないね。あるいは過去に流通していた軍用の高濃度DEET(ジャングルジュース)と混同してしまったのか、小売店で売りたいが為に、誇大広告的な文言を使ったのかは判らない。

ただ、日本国内ではかなりマニアックな製品なので許されるかもしれないけど、最強なんて文言は客観的なデータがないと本当は使用してはいけないと思うけどね。

昔、DEETに有害性があるとして、それに代わる忌避剤として開発されたのがイカリジン(ピカリジン)という事だが、調べてみると開発されたのは1986年と既に30年以上の前の話だ。イカリジン成分は有効性が認められて、オーストラリア軍でも忌避剤として採用されている。日本では2016年にようやく認可された成分。

何が言いたいかというと、世界的に忌避剤の成分としては、現在でもDEETかイカリジンが使われているのが主流(注:但し、人体用の忌避剤として。農薬では更に強力なものも存在する。)であって、それはChigg Awayに含まれるサルファではないという事だ。

まあ、効く効かないはプラシーボ効果もあるので何とも言えないけど、それなりの価格で売られている製品なので、その点は自分で判断するしかないとは思う。少なくとも僕は、過去に実績のあるケミカル系のDEETやイカリジンをしっかり含んだ(高濃度いうこと)製品を使います。

副作用やら肌には悪いという部分は否定しないけど、何よりも毎日の様に頻繁に使うわけじゃないし、多少の副作用や肌の荒れより、害虫を媒体とする感染病の方が何倍も恐ろしいもの。単に刺されて、腫れた痒いというレベルなら我慢すれば済む話だけど、最近はなかなか難しい世の中になってきたからね。

尚、DEETは発がん性があると今でも言われているけど、その後の研究で発がん性については否定的な見解が出されていたと記憶している。その他の安全性については、参考資料を。(参考:DEETの安全性についてー厚生労働省 PDF)。でも、安全性を気にするのは仕方がないけど、やはり程度問題ではあると思う。100%安全など、世の中にないのだから。それにDEETが駄目で他が安全かというと、それも怪しい。例え、天然成分だとしてもね。天然由来の製品も成分を濃縮しているわけで、それが本当に安全かなんて話になると、一切余計な物は使わないのがベターなんて話になるのでね。

ただ、成分的には石油に近く、肌への影響は否定は出来ない。国内の高濃度DEET製品(30%)は12歳以下の使用が禁止となっているので、身体に良いとは僕も言わない。肌への影響を考えるのであれば、イカリジン成分の製品を選ぶというのも選択肢の1つだと思う。勿論、このセクションで取り上げたChigg Awayでも構わない。

でも、ネット上の評判は上々だけど、個人的には積極的にはお勧めしない。使いたければどうぞというスタンスだ。

[防虫用線香]

間接的に害虫を予防する方法として、蚊取り線香などの煙は効果はある。実際には遠ざけるという意味で、普通の煙でも効果はあると思う。そんな中でショップやネットでは野外用の防虫線香が売られていてる。有名なのは株式会社 児玉兄弟商会から発売されている「パワー森林香」というもの。

赤い箱に入っている太い渦巻き線香だけど、ネットで調べると緑色のパワーがつかない森林香も売られているようだ。違いは成分で無印の森林香の主成分は忌避剤であるDEET、パワー森林香の方はなんと殺虫剤にも含まれるメトフルトリンという成分とのこと。

この成分の違いはともかく、一般的な蚊取り線香との違いは、太さからくる煙の量だ。キンチョウなどでも野外用の線香が売られていて、見た限りは同等の太さの様な気がする。

実際、釣りなどで森林香などを愛用している人も多い防虫グッズだけど、これが効くかどうかは風向きと歩き方だろう。要するに、もくもくと出た煙が自分に当たっていないと効果はないということ。渓流釣りで上流に遡行するとして、上流から風が吹き込んでいる様なケースだと、当然ながら煙は後方に流れていく。

それ故、釣りでお勧めかと聞かれれば、無くても困りはしないと思う。ただ、ハイキングやキャンプなどで配置を考えて使うなら効果的じゃないのかなとは思う。

余談だけど、この手の防虫線香は巻きの大きさは同じだけど、太さが物凄く太い。このため、通常の蚊取り線香用の携帯器具には入りきらない。勿論、無理矢理蓋を閉めれば入らない事はないけれど、火が消えたりすることが多い。

キャンプなどでは他の方法で線香を保持すればいいけれど、携帯容器に(安全上はこちらの方がいいだろうしね)という事であれば、森林香専用のケースは必須です(キンチョウの太巻でも大丈夫)。

森林香は在庫がなく、キンチョウの同種の製品が1番左に

2 件のコメント

  • しかし、こんなに色々種類があるのですね。
    吸血昆虫で酷い目に遭ったことが何度かあります
    まずは、道北の天塩川水系のA川のヤブ蚊、これはDeet含有のスプレーはあまり効果なく、翌年は蚊取り線香を持参しましたが、群がられて酷く刺されました。
    その後、Deetスプレーも皮膚への残留が良いものにしましたが、それでもグローブの上から刺されました。
    気温も真夏でも20℃切るような冷涼な場所ですが、
    ここのヤブ蚊の凄さは特筆ものです。
    お次は道北のSK水系の枝川の川原に野宿した際の、ブユに酷い目にあった件、渓流用のフェルトタビを履いてましたので8月です。夕方に野宿場を設営し焚き火を始めて間もなく、何千匹ものブユにまつわりつかれました。叩いた位では中々死なず、Deet、蚊取りは忌避効果は全くなかったと思います。蚊のように服の上から刺したりはありませんが、服の袖口、果てはネオプレンの渓流たびのファスナー伝いにスネに這い上がり吸血されました。焚き火の熱が当たっている大型クーラーの側面、釣友の新車のランクルの下回りなど温度が高い場所には、真っ黒になって留まって居ます(今思い出しても鳥肌が立ちます)陽が傾きこのままでは野宿はおろか、焚き火も楽しめないと、町までは30kmほどありましたが、殺虫剤を買いに行こうとしたところ、ブヨは少しずつ減り始め、日暮れ頃には1匹残らず居なくなりました。躾の良い小学生のようです。
    この釣行の後、本屋に行きましたらBEPALに吸血昆虫特集があり、買い求めました、ブヨ、ダニは赤外線を感知し寄ってくる、ブヨは小石の多い清流から孵化する、ハッカが忌避効果高いなど記事を貪り読みました。
    昨年から野幌森林によくいきますが、ここもヤブ蚊が多いですね、スプレーをかけ、蚊取り線香をザックに取り付けて歩いてますが、必ずどこか刺されています。ので、最近は、刺された直後の使用が効果的なキンカンを
    忘れず持ち歩いております。帰宅後まだ痒い時は、オイラックスクリーム、これで万全です(笑)。

    • ZENさん

      防虫剤は何だかんだでDEETが1番効くと思っていますが、おっしゃる通り従来の薄いスプレーは、あまり効かないかもしれません。スプレーは塗りやすい反面、汗で流れやすく、頭や服以外ではジェルやクリーム製の物をお勧めします。

      国産でも30%濃度の製品が出てきましたが、なかなか置いている店が少なかったりします。ただ、地下鉄札幌駅近くにあるダイコクドラッグ(地下です)には、結構な種類がありましたね。私の場合は通販でウルトラソンを取り寄せていますが、ヤブ蚊であればバッチリ効きます。但し、塗っていない場所を襲ってきますので、時間をかけて丁寧に塗るのがコツです。

      ブユについても高濃度DEETは効くとは思いますが、限度無く集まっていると完全防御はなかなか難しいかもしれません。暑くなければ、服装やネットで武装が良いのでしょうが、経験上、夏は使い物にならないと思います。ましてや釣りでは駄目でしょう。

      それでも、DEET濃度が濃い忌避剤は持っていた方が宜しいかと思います。でも、仲間にはモロ殺虫剤を持参という方も居ますね(笑)。