ニセコ高原のネマガリタケ

斜面を下るのは楽だが、上るのは苦行そのもの

魚釣りでも同じだけど、”釣れている”あるいは”採れている”の情報を仕入れてから行動に移す人が多い。そうした考えは間違いではないと思うけど、僕自身は人が入る前を狙いたいという気持ちもあり、例年このタイミングでニセコを訪れることが多い。

ただ、今年はギョウジャニンニクの開幕が早まったり、桜の開花も例年になく早かった年だ。ニセコの開幕も早くなるのではと多少の焦りを感じていたけど、結果的にはちょうど出始めたタイミングだった様だ。それはウドやコシアブラの生育を見ても同様であり、豪雪地帯のニセコについては多少の差はあるにしても、概ね平年並みにシーズンが経過するような気がする。

初めて竹藪を体験する友人

ネマガリタケ 正式名称はチシマザサ(千島笹)である 亜種が細かく分かれている様だけど、食べて美味しければ種類は気にする必要はない

ネマガリタケは人の背を遙かに超える大型の笹であり、その竹藪に入り込むと前後左右の感覚がなくなる。こうした場所故に遭難が多発するのだけど、今回は友人がタケノコ(ネマガリタケ)を採りたいと同行を希望していた為、普段よりも更に安全を期す必要があった。

今回は山麓を上るようなことはせず、道路から斜面を下り、下にある川との間を往復するという安楽な場所を選んで入ってみた。結果的にはタケノコの生え方にムラもあり伸びたものは皆無であった為、少し早いと最初は感じていたけど、最終的には先行者が居たという結論に至った。というのも少し離れた同じ地形の場所では、短時間でそれなりの採取ができたからだ。

怪我で動けなくなるという可能性もあり100%安全とはいえないにしても、迷うという点では斜面を登れば道路という場所なので他の愛好家も入りやすいのだと思う。

これくらい伸びていると楽だけど、これは後述する三軍の部類である

明確なのは7本ほど写っているだろうか

竹藪の中にオオカメノキが咲いていた

エゾノリュウキンカが沢沿いに咲いていた

5月下旬のニセコ高原では山麓の雪渓は当たり前として、日当たりの悪い斜面や道路の法面などには雪が残っている。標高も僕の入るワイス界隈でも500mは超えており、ウドやコシアブラ、タラの芽などの山菜も平地とは異なるタイミングで採取が可能である。

日当たりの悪い場所には、まだ残雪が

ニセコ高原のコシアブラ

こんな筆穂のコシアブラも

恐らくコシアブラのまとまった採取は今年最後だと思う

5月の山菜といえば僕にとってはコシアブラだけど、流石に標高の高いニセコ高原でもそろそろ終盤だろうと思う。まだ、摘むことに躊躇するような小さな芽もあった為、来週以降もわずかに採取はできるかもしれないけど、今回のようなまとまった収穫は今年は最後ではないかなと思う。

ウドの季節にも入ったニセコ高原

6月に入ってもウドについては見事な若芽を採取している人も多いので、山を登り歩いて探せばあるのだろうと思う。でも、個人的には5月下旬のニセコ高原が最終版だね。

自宅で楽しむ分としては、まずまずであろうか

山菜狩りを生業としているような人から見れば、お遊び程度の収穫量かもしれないけど、素人の遊びとしては上々かなとは思っている。これ以上採取すると、それこそ瓶詰めのような長期保存を考えないといけなくなるのだ。

一軍のタケノコ

売られているタケノコは一定の太さと長さをそろえる必要があると思うけど、実際タケノコで美味しいのは先端部分の節が詰まっている場所だ。それ故、自分で採取するなら太さがあり、長さは15cmくらいまでの寸詰まりが美味しいと思っている。また、土の上に出てくるとタケノコ自体も色がついてくるけど、この色づきに比例してエグ味を感じるようになるので、白く短いタケノコの方が味的には上物なのだ。

これは二軍

料理につかうのであれば二軍レベルでも十分美味しいけど、流石に三軍レベルまで伸びると根元の方かかなり堅くなる。薄切りにして味噌汁に入れるという手もあるけど、無理に食べることもないというのが個人的な意見ではある。

ここまで伸びると三軍となってしまう

いつものお店にタケノコを持ち込み炭焼してもらった

炭焼が好ましく感じるのは香りである。皮自体も炙ると香ばしいけどホイル焼きの様に皮に包まれ、蒸し焼きになるタケノコの香りや甘さも美味しいものである。好みにより、塩や味噌をつけてもいいけれど、個人的には何もつけない素の味が好きだ。

タケノコとウドの天ぷら 酒が進んでしまう

タケノコの天ぷらは甘い。それ故、ウドやコシアブラの天ぷらと一緒に盛るとバランスがよろしい。ただ、タケノコの天ぷらについては甘さは書いた通りだけど、根元部分のシャリシャリした食感も魅力の一つである。