キノコの世界

一級品のハナイグチ(ラクヨウ)

ハナイグチ(ラクヨウ) これも上物だが、上の写真には負ける

タイトルだけは仰々しいが、単純にラクヨウ(ハナイグチ)を狙いに山に入ったところ、様々なキノコが生えていたというだけの事である。このキノコも秋が深まると発生する種類も限られてきて、毒キノコの確率も下がっていく。しかし、ラクヨウの発生する時期ではまだまだ危険なキノコの発生も多く、誤食すると厄介な事になってしまう。

怪しいキノコは一切採らない食べないを守れば、誤食による食中毒は(最悪の場合は死んでしまうのがキノコの恐ろしいところである)避けられると思っているけど、最近では道の駅などで天然のキノコも売られていたりして、中に毒キノコが混じっていたなんて話も毎年にように聞く。

こうなると栽培したキノコ以外は危ないという事にもなってしまうけど、写真のラクヨウなどは誤食するキノコも少ないので普通に考えれば大丈夫と言える範疇だろう。いずれにしても100%大丈夫と判断できないキノコには手を出さない方が無難である。特にテングタケ科のキノコはタマゴタケの様に美味しいキノコもあったりするけど、殆どが毒という蛇の世界のクサリヘビ科みたいな種でもある(※マムシや沖縄のハブなどクサリヘビ科の種は殆どが毒蛇と言われている)。

黄色のスポンジ状の裏が映える

ハナイグチは北海道でも人気のあるキノコで、このキノコだけは採取するという人も多い様だ。判別がたやすいという事もあるのだと思う。このラクヨウ、味噌汁などの汁物で食べる事が多いけど、傘のあまり開いていない幼菌を軽く茹で、大根おろしなどと一緒に食べたりする方が個人的には好きだ。歯ごたえがあり、松の香りがするようなものが自分にとっての一級品なのだ(実際に市場でも高価だけどね)。

傘の開いて大きくなったラクヨウが好きという人も知っているので、全くの好みではあるのだけど、僕は傘が開いて汁物の中でドロドロ状になったものを好んで食べるという事はない。でも、ウドンなどの具としてはこうした方が美味しいかもしれないね。

ただ・・・。こうした開いたラクヨウは虫が凄くてね。ラクヨウの場合は下準備として虫だしの行程は欠かせないけど、薄い塩水にラクヨウを入れると数十秒ほどで這い出してくるもの。まあ、虫を食べるようなものだと言われている位だから、あまり気にしない方が良いとは思うけど、あれを見てしまうと口に出来なくなってしまう人も居るかもしれない。

ナラタケ(ボリボリ) 1本だけ立木に生えていた

ナラタケは晩夏ころの早生(わせ)から晩秋近くの晩生(おくて)まで発生する為、タイミングが難しいキノコと言える。特に早生については気温により大きく時期がずれたりするので狙って採取は自分には無理だと思っている。写真の様に見かける事は多いけど、採取出来るような群生を見たのはこれまで数回レベルだ。

イボテングタケ(毒)

テングタケから細分化され、針葉樹林に生える種をイボテングタケというらしい。テングタケは広葉樹林に生えるとの事の他、鱗片もイボテングタケの方が硬質とのことだ。写真のイボテングタケはそれほど大型ではないけれど、それでも僕の手と比べても結構な傘の大きさなのが判ると思う。

イボテングタケは大型になるキノコである(毒)

ウスタケ(毒)

ラッパタケ科に属するウスタケは毒キノコとして分類されているものの、同じく猛毒として知られるシャグマアミガサタケと同じような事を行えば食べる事が出来るらしい。ただ、そこまでリスクを背負って食べるまでの価値があるかどうかは、僕にはわからない。

ホウキタケ

タマゴタケ(可食) 傘の開かないタマゴタケも明確な条線があるのがわかる

毒キノコ揃いのテングタケ科の中で、例外的に可食とされているキノコの一つがタマゴタケ。ただ、同定するポイントをきとんと押さえておいても、やはり躊躇いがあるのはあまりにも親戚筋(他のテングタケ科のキノコ)に毒キノコが多いからだ。

赤オレンジの傘、黄色のヒダ、傘外側の条線、黄色のつば、だんだら模様の黄色い柄などがポイントではあるし、何度かみれば間違いなくタマゴタケだと同定は出来るのだけどね。実際に食べた事はあり、美味しいキノコだと思う。汁物とバターソテーだったかな。

テングタケ科だと思うが同定できない。ドクツルタケの雰囲気だが、傘の鱗片があり判断はできなかった。

よくみると、白いキノコの右にもう一種類のキノコが写っている。それはさておき、白のキノコは残念ながら同定はできなかった。もっとも、本来はラクヨウキノコを探しに山林を歩いているだけなので、この手のキノコがなんであっても構わないのだけど、この手の形のキノコはやばそうだ。

ウスキテングタケ? こちらも初めて見たキノコである

このキノコも僕は初めて見た種で、形の特徴からテングタケ科であろう。ネットで色々調べたところ、恐らくはウスキテングタケであろうと考えている。

キヌガサタケの幼菌

カラマツ林などで土の中から、卵の様な物体が顔を出していることがあるけど、これはキヌガサタケの幼菌である。写真のそれは少しヒビが入っているので、もしかすると黙って観察していたら伸びてくるのが見られたかも(しれない)。実際、この卵から頭がでて柄が伸び、特徴的な網目の衣が開くまでの速度は数時間らしい。興味がある方はYouTubeなどの公開動画をどうぞ。

ヌメリスギタケモドキの幼菌 これくらいだと可愛らしい

これからの時期、山林の立木(枯木などで特に)に生えている橙茶色の大型のキノコは大抵はヌメリスギタケモドキだ。遠くからも目立つキノコで可食ではあるけれど、大型の物は虫食いも多く、食べるなら小さな幼菌がいいとか。でも、個人的には幼菌であっても採取しないかな。ちょっと癖があるキノコだと感じているので。

雷電海岸 雷電岬が美しい

山林を後にした後、日本海を眺めながらと言いたいところだけど、最近は海岸線の道路がトンネルに置き換わってしまう事が多い。層雲峡や積丹の豊浜トンネルの落石事故など切り立った崖の地形近くを通る道路は、安全上リスクがあると判断されたのだろう。景観上は素晴らしい場所の多かったそれらの道路は旧道として残る事もなく、こうした海岸線の景観は極論を言えば船に乗らないと眺める事が出来なくなるのかもしれない。写真の雷電岬は雷電温泉郷近くのトンネルと旧道の分岐付近に駐車が出来たので、そこか撮影したもの。