裁判員選任手続

裁判員選任手続の為、市内にある裁判所へ行ってきた。自治体の役場、役所などへは行く機会もそれなりにあると思うけど、普通に暮らしていて行かない場所が裁判所であったり、警察署であったりする。

仕事であれば取引も少なからずあるので、それらの建物へ入る事もあるけれど、プライベートでは普通は用事がない場所ではあるのかもしれない。特に裁判所は何かやらかさなければ、まず行くことはないよね。ま、中には裁判の傍聴が趣味だという人もいるのかもしれんが・・・。

裁判員制度については、この制度が出来てからかなり経つので、ネット上でもそれなりの情報が出ているので、詳細な事は今更不要だと思う。それでも、選任手続の流れと感想くらいは書いておこうと思う。

現在、多くの裁判所では手荷物検査が義務づけられているそうだけど、裁判所に入り、守衛さんに呼出状(黄色い紙)を提示すると、手荷物検査は免除され、どこどこへ行って下さいと案内された。(手荷物検査が不要云々は呼出状にも記載されている)

手続の場所は2Fなので階段で向かうと、その階には既に係員の方が待っていて、部屋に案内してくれる。そこで呼出状を提示し、番号を記入され、指定された席へ。札幌の場合だけど、この日は集まった候補者は28名。

時間になると、選任手続の流れを口頭説明され、10分程度のドラマ風になっている裁判員制度のDVDを鑑賞。その後、今回の事件について簡単に説明を受ける。この事件については、公判中なので書くことは出来ないけど、正直なところ、かなり嫌なというか心が痛む事件であった事だけは書いておこうと思う。

この説明を受け、参加出来るかどうかの最終的な調査票を記入する。この調査票というか質問票は、公判の被告との関係(親類であったりすれば、裁判員には不適格だという事になる)や事件の捜査に関係あるかどうかが主体。

この後、裁判官や検事、弁護の方が集まり、そこで集団質問が行われた。これはケースバイケースの様で、調査票で参加を辞退したい云々という方のみ、個別質問が予定されていたようだ。但し、集団質問でも、やはり辞退したいという人はその質問に挙手した人もおり、(辞退希望の人が挙手)そのような方も個別質問となる。

それと、検察と弁護側から不適格と思われる人は、抽選前に除外される事もあるようだね。今回、これがあったのかどうかは、知るすべはないけれど、恐らくは個別質問で辞退が認められた人以外は、抽選対象になっているんじゃないかなと思う。

そう感じたのは、最終的な選任結果は10時台に出ていたからだ。個別質問の方が恐らく10名くらいだったと記憶しているけど、それだと18名+個別質問で辞退不可の方が半分の5名として23名。予定では11時45分くらいに選任結果が公表という予定だった筈だから、恐らくは候補者の分母を決める作業も大きな問題は無かった筈だからだ。

最終的に抽選というのは、PCのソフトでクリック一発で出るようで、幸か不幸か僕の場合は公的な言葉で言えば不選任。今後の経験の為に選任されても良いかなと考えていたけど、それでも今回の事件内容を考えると、不選任であった方が精神的に良かったのかもしれない。

裁判員制度そのものを否定する気はないけれど、結局のところ重大事件になると、控訴・上告となり上級裁判所に判断をゆだねるのが今の司法制度。裁判員が参加するのは、あくまでも一審だけであり、裁判官と共に協議の上で有罪無罪、有罪の場合の量刑を決めても、上級裁判所では従来と同じ様に裁判官のみが判断を下す。

それであるなら、裁判員制度が参加する一審は意味が薄れるような気がする。例えば米国だと陪審員制度があるけど、あちらは証拠を元に有罪か無罪かの判断を陪審員が行い、量刑は判事が決めるなんて(乱暴な言い方かもしれないけど)形であったと思う。

何れにしても、まだまだ課題のある裁判員制度なのかなとは正直思う。それでも、制度導入前よりも裁判の仕組みや判決の理由などが理解されやすくなるという部分は、ある程度は達成出来ているのだと思う。問題は日本の場合は、こうした制度が制定され、課題・問題点が出てきてからの動きが遅いこと。

その意味では、こうした制度に仮に選ばれる機会があれば、可能な限り、積極的に参加して、こうした部分を考えていく事も必要なのかもしれないね。そう感じた選任手続でしたね。