カラフトマスの思い出

9月の河口で釣れる典型的なカラフトマス雄

9月の河口で釣れる典型的なカラフトマス雄

タイトルにもあるように、これは今年のアタックではない。2006年9月17日と記録にあるので、8年前の秋に訪れた知床アタックの思い出話である。

カラフトマスの釣りは毎年の恒例となっているので他にも思い出深い釣行もあるのだけど、過去の写真をみて思い出した釣行の中で特に印象深いアタックの1つだったと思う。

9月中旬ともなるとカラフトマスは河口にひしめき合い、河川への遡上もとっくに始まっているというタイミングである。銀ぴかのフレッシュランを好む僕が敢えてこの時期にアタックしたのは理由があり、本州から遠征してくる釣り仲間を案内するためである。この時期の道東はアメマスには微妙なタイミングであり、さりとて上流域のイワナを狙っても北海道らしくない。

北海道らしく自然の中で大きな魚を釣って貰いたいと思ったとき、たとえセッパリであっても釣れれば大型の魚である。フレッシュランの様なスプリンターぶりは味わえないとしても、それなりに楽しんで貰える筈だ。果たして口を使ってくれるのか心配だったけれど、最盛期とは違い少し遅い出船でモイレウシへ渡った。

他の釣り人もそれなりにいたのだが、河口正面は敢えて避け(遡上直前の魚が固まっているので、スレを嫌ったのだ)釣り座を確保すると思った以上に反応はある。勿論、口を使っているという意味だけど岸近くでアワセを入れたりすると即スレとなる。それでも、何匹か釣るとスレを回避するコツのようなものをつかめるようだ。

但し、口を使っても釣れるのは遡上直前の婚姻色が強く出ている個体ばかりである。オスは背中が盛り上がり所謂セッパリマスとなり、雌は体型こそ変わらないものの、背中が黒く腹が白いツートンカラーとなってしまっている。魚が大きいのでそれなりには楽しめるけれど、やはりフレッシュランを知っている人間としては、本来は狙う対象ではない魚である。何匹も魚はヒットしたけれど、河口周辺では銀ぴかは皆無であった。

流石に嫌気に近い感情が芽生え、仲間に声をかけ単独でポイントを移動することにした。

モイレウシの岬よりの岩場へ向かうと、岸際には婚姻色にそまった夥しい群が泳いでいる。この群を避け、重量級のスプーンを沖めがけてフルキャストを繰り返した。沖合でもアタリはあり飽きない程度に釣れてくるのだけど、上がってくるのはセッパリかツートーンカラーのマスばかりである。

暫くはそんな釣りをしていたけど、あるとき着水同時にルアーを引ったくる(少し大袈裟だけど、明らかに喰いにきているアタリだった事を覚えている)アタリがあった。その時は乗らなかったけど、何度かキャスト後に同じ場所で似たようなアタリがあった。フレッシュランのそれとは違うけれど、それまでとはファイトが明確に違う。沖で掛かっているので寄せるまでは判らなかったけど、寄ってきたそれは時期を考えると上々の銀ぴかマスであった。

それから全てではないけれど、釣れた半数は最盛期の様なファイターであった。それからの年も何度か9月に訪れた事もあったけど、こんな釣りが出来たのは最初で最後。タイミングが良かったとしか言えないけれど、この釣りは今でもモイレウシかペキンの鼻でしか出来ないと思う。崩れ滝や滝の下は沖に岩礁があったり、浅くなっている場所が多いので新しい群に当たりにくい地形だからだ。

実際のところはそれが正しいかどうかは疑問だけど、モイレウシの沖は深場だという事と、大きな湾なので遡上間近の魚は岸沿いをゆらゆら泳いでいる事が多い。河口正面は沖であろうと遡上しようとする魚で溢れているからね。

但し、これは結果から考えた推測であって、シーズン終了間際に同じ場所で同じような銀ぴかが釣れる保証は当然だけどありません。でも、チャレンジしてみる価値はあるかもしれないですね。ただ、この岩場・・・過去にペキン方面から羆が歩いてきた事もあったので要注意です。

9月中旬としては最上に近い カラフトマス雌

9月中旬としては最上に近い カラフトマス雌

9月中旬としては最上に近い カラフトマス雄

9月中旬としては最上に近い カラフトマス雄

僅かに背中が盛り上がってきているが、上々の雄である

僅かに背中が盛り上がってきているが、上々の雄である

この時期の日の出は国後ではなく、岬よりから昇る

この時期の日の出は国後ではなく、岬よりから昇る