沖縄はステーキハウスが多く、石垣牛などのブランドビーフはともかく、通常はオージービーフが殆どだ。個人的にオージービーフは美味しいとは思わないのだが、那覇のステーキハウスで食べるそれは、特有の臭みが殆ど感じない様な気がする。霜降りに慣れた人はこの手のステーキは駄目だろうけど、僕は脂が少ないので好きである。ただ、沖縄で多いA1ソースは僕的には今ひとつ。それ故、店のソースがあるHANSさんが今のところ自分好みである。写真は更に脂の少ないテンダーロイン(ヒレ)の300g。流石にこれはそれなりの値段がするけど、とある事情で途中で肉が増量され、何だかんだで1パウンドくらい食べているような気がする。そんな量なので、ライスなどの食物は一切頼んでいない。
沖縄そばは地域によって、麺が異なるようだ。那覇などでは平麺が主流であり、八重山は丸いストレート麺など地域の特徴を出しているようだ。宮古そばも平打ちと言われているけど、今回食べた店では丸に近いと感じた。結局のところ、店次第という事なのだろう。あと、ダシについては豚骨系と鰹節系に分かれる様だけど、この点も店次第みたいだ。個人的には丸麺で鰹節系のダシ系の方が好み。ついでにいうと、本ソーキよりも軟骨ソーキの方が食べやすいので好み。今回食べた宮古そば、かなり丸麺だけどとても太く、麺のコシがとても強い。個人的には好きな味で当たりであった。ラーメンと違って、沖縄そばは廉価に価格設定されているのも○。具は、豚とかまぼこと宮古そばの定番。
海ぶどうは沖縄では盛んに養殖されているようで、何処の土産物屋でも必ず売られている。シャリシャリ、プツプツという食感と少しの磯臭さが特徴であり、店ではゴマだれや酸味をきかせた醤油だれ(シークァーサーなど)をつけて食べるのが一般的らしい。でも、僕はそのままでも塩気があるので、タレ無しで食べる事が多いかな。
沖縄で栽培される紅芋は、本土へ持ち出す事は原則禁止されている。空港などにも、大きく注意書きがあるのだけど、理由はやはり害虫の様で消毒すれば持ち出しは可能との事らしい。個人の土産目的など少量の場合は、那覇植物防疫事務所などで消毒を行ってもらえるとの事だ。もっとも、ある程度の時間が必要だろうから、短期間の旅行では難しい様な気がする。ちなみに加工品については、特に制限はない。
那覇の居酒屋で食べたのが、島蛸、あぐー豚の炭焼き、アラミーバイのマース煮、ぐるくん空揚げである。特にマース煮は個人的に、魚の味がわかるので好きな料理だ。もっとも、鮮度が良くないと駄目だろうし、一般的なJT塩であれば美味しくない様な気がする。沖縄では色々な島で海水から塩(マース)が作られており、ミネラルを含んだ塩が上等の調味料となる。
冬の沖縄でメニューにシロイカと書かれていたら、それはアオリイカの事である。もっとも、アオリイカにもシロとアカがあり、海人(うみんちゅ)はそれらを区別していると何かで読んだことがある。和名で呼べば問題はないのだけど、アカイカと書くと場所によってはソデイカの事を指す場合も多いようで、ややこしい話になる。今回、居酒屋でシロイカと書かれていたので、「シロイカというのはアオリイカの事?」と質問したのだが、愚問であったようだ。地元ではシロイカと呼んでいるのだから、アオリイカと言われても何それ?という気持ちであっただろう。「シロイカはシロイカですよ」という答えが返ってきたからね。
いずれにしても、牧志公設市場でアオリイカを探したところ、実物を見せて貰えたので食べたのは間違いなくアオリイカ。小さい個体だったけど、アオリイカ故に値段はそれなりにする(1200円)。これを半分は刺身、半分は天ぷらでと頼んだのだが、天ぷらの方は九州の鶏天に似た感じになってしまった。それでも、物が良いからとても美味しい。食感については、北海道でとれるイカは最高だと感じるけど、身の甘みや旨味はアオリイカの方がやはり美味しい。
ノコギリガザミはマングローブ蟹と言われるように、沖縄県ではマングローブなどの様な汽水域に生息している大型の蟹で、ワタリガニ科に属する。この科の特徴である一番後ろの脚は、オール状に平たくなっている為、泳ぎは得意そうだ。普通のガザミと異なるのは、大型に育つ事と巨大な鋏だろう。このノコギリガザミは、沖縄を訪れるようになってから知った種で、昨年の夏に石垣島の居酒屋で、小さなノコギリガザミを食べる事が出来た。そんな事もあり、今回の沖縄ではもう少し大きなノコギリガザミを食べたいと思っていたのだ。
季節や入荷量で値段は変動するだろうけど、牧志公設市場の売値で1kgあたり5000円くらいのようだ。売られている蟹は小ぶりの物も多いので、それだと2000円台から楽しめると思う。ただ、この蟹は鋏は巨大ながら、他の脚は細くて食べる場所が少ない。脚の根元の肉はあるけど、北海道の毛ガニの様に身がびっちり詰まっているというわけでもない為、可能な限り、大きなノコギリガザミを選んだ方が良い。冬場は雌の内子が美味しいと言われるけど、雌で大きな個体は少ないようで、売られていた大型の蟹は全て雄であった。
ボイルで食べたけど、やはり身の味は非常に美味しい。芳醇な味の濃さは獰猛な外見からは信じられないほどだ。甘く、蟹の旨味が広がるから、タレをつけなくても十分美味しい。
この牧志公設市場は、観光ガイドなどにも必ず紹介されている観光地の側面もある。多くの店が入居していて、観光客も来るとなると、釧路の和商市場を訪れた事があれば判ると思うけど、店の売り込みがもの凄い。その意味では、手放しにこの場所をお勧めとは言えない。僕はノコギリガザミを食べるという明確な目的があったので、確実に売られている市場で食材を求めたけど、刺身を食べたいなどのレベルであれば、市内の料理屋に食べに行く方が安上がりだと思う。ただ、観光地化されているとはいえ、牧志公設市場は面白いとは思う。南洋の色とりどりの魚や貝、エビなどの海産物や豚肉、加工された食材などが混沌と存在しており、日本というよりもアジア的な雰囲気が漂っている。
そんな市場だけど、中には誠実な商売をしている店も少なからずあるので、最初は冷やかしでいろいろな店を回り、ここなら買っても良いかなと自分で判断すべきであろう。料理方法も然り。これがお勧め!という調理方法を提示してくれるけど、何を食材に求めているかで調理方法も変わる。今回のノコギリガザミも僕はボイルかスチーム、あるいは焼くしかあり得なかった。中華料理での炒め物が良い勧められたけど、今回は蟹の味をじっくり味わいたいのでボイルをお願いした。炒めても美味しいのだろうけど、それは何匹も食べる場合のバリエーションの一つであり、それが本命とはならないだろう。毛ガニを食べるという場合に、いきなり甲羅揚げを出されるようなものなのだから。
大東寿司が登場するのは、三回目かもしれない。それでも空弁として、あるいは土産物としてはお勧めだと思う。ただ、量は少ないから、腹一杯食べたい向きには不向き。数量限定でJAL側にしか発売していないらしい。午前中は10時頃に入荷するそうなので、タイミングが合えば買ってみるのも思い出となると思う。