プロローグ
ここ数年、正月休みをさける形で沖縄本島へ旅立つ事が多くなってきた。正月を避ける理由は簡単で、混雑を避ける事と旅行代金が安いからだ。ただ、この時期の沖縄は天候は冬の日本海と同じで大陸方面からの風が強く、高気圧の縁となる事も多く、曇りや雨の日が多い。
それでも沖縄本島は、琉球とアメリカそして日本、あるいは台湾などの交流がある地で文化も独特であり、街を歩くだけでも北海道人の僕にとっては、魅力溢れる土地である。そんなアジアンテイスト溢れる本島を、三泊四日の短い期間である巡ってきた。
那覇市内
国際通りは、観光客であれば必ず訪れる場所の1つなのかもしれない。それは(牧志)公設市場も同じなのだが、この周辺は複雑に入り組んでおり、今なお昭和の雰囲気が濃厚な場所だと僕は思う。市場通り商店街などメインストリートは観光客相手の土産店が多く並び、他の観光地とあまり代わり映えはしないように思えるけれど、そこは沖縄であり独特の雰囲気を醸し出している。例えば、Tシャツなども正直なところかなり怪しいものが多い。ただ、パロディ商品であり、某国のようなパクリとは違うのだ。
国際通りから離れるにしたがって、所謂マチグァー(市場のこと)の雰囲気が濃くなる。大抵は公設市場近くまでしか観光客は入り込まない事が多いのだが、その奥が面白い。勿論、その面白さは人それぞれだと思うけど、僕は好きな方だ。
公設市場は観光名所になっていて、1Fで食材を買い求め、2Fで料理してもらえるシステムとなっている。勿論、希望すればの話ではあるのだが、基本的に値段は観光地価格であると思う。ただ、今回の狙いはノコギリガザミであり、廉価に食べられる店を探したのだが、常時こんな食材を置いている店は殆ど無いようだ。結局、昨年と同じように公設市場を訪れ、ノコギリガザミをボイルして貰った。残念だったのが、食べ終わった後に回った店でこの日一番の大型を見つけた事だ。かなり高価だろうけど、あの巨大な鋏をみると、財布の紐も緩くなってしまうのだ。
市場2Fで食べたものは、先のノコギリガザミのボイルとアオリイカの刺身とゲソ揚げ、タケノコの炒め物と小さなシャコ貝の刺身だ。調理料金とビールを頼むと、それなりの料金になるので格安とは言いがたい。ただ、旅の思い出には面白い場所であるのも事実だ。
三日目の晩、那覇市内の居酒屋を訪れてみた。なかむら家という屋号の居酒屋さんで、観光客も勿論訪れるが、地元の方も利用する歴史のありそうなお店であった。タクシー運転手の方に紹介して貰った店なのだが、ここは当たりであったと思う。特に魚のすり身を揚げた「なかむら揚げ」は絶品であった。海産物が主体で刺身も美味しい。ただ、沖縄の魚は淡泊さが目立つので、脂の乗った魚は期待してはいけない。
居酒屋を出た後、久茂地にあるBARを訪れた。居酒屋ではないので、BARの名前はここでは記さない。ただ、個人的にはとても良い店だと感じたね。Bartenderさんの誠実さがとても良かった。BARだけど若い子にも来て貰って、こんな酒もあるんだという事を教えたいと話されていたのが印象的であった。こちらのお店でお通しとして出して頂いた牡蠣が絶品でありました。
美ら海水族館
美ら海水族館は、沖縄本島を訪れる観光客の殆どが訪れるであろう人気の施設である。僕もここを訪れるのは、今回が三回目となる。そんなに通ってどうするの?と言われそうだけど、水族館には年間パスポートが売られているくらいだから、fanも多いと思う。僕も釣り好きだけど、魚そのものが好きな人間なので、水族館は大好きである。逆に動物園は殆ど興味がなく、全国でも人気の旭山動物園なども、行ってみたいと思ったことは一度もない。この辺りは好みなんだろうね。
美ら海水族館は人気施設の為、混雑を避ける意味でこれまでは午前中の早い時間に訪れていた。今回は三回目という事もあり、二日目の朝は宿をゆっくり出発し、知念の城跡とカフェを訪れ、昼食後に本部町へ向かった。修学旅行生も訪れていた様でそれなりの混雑をしていたけど、正月明けの平日という事もあり、混んでいるそれを知る人から言わせればガラガラに近い状態だったのかもしれない。午後に入園したので、これまでとは違って、ジンベイザメの給餌シーンやマダライルカが黒潮の海水槽へ放たれたシーンも見学することが出来たので、従来とは違った意味で楽しめたと思う。
知念
沖縄のレストランや食堂は、ボリュームがある店が多い。かつての米軍相手という事もあるのかもしれないけど、米軍が来ない様な食堂でも量が多いから、注文には注意が必要だ。今回の沖縄ではステーキハウスへ行く時間がとれなさそうという事もあり、知念のカフェ&レストランの昼食でステーキを頼んだのだが、ライスやスープ、ステーキの付け合わせが多すぎ、とても食べられる量ではない。スープも美味しかったのだが、濃厚なポテトポタージュの中にチーズが泳いでいるという高カロリーさだ。意図的にセーブしないと、帰還後とんでもない事になってしまうこと必須であろう。
世界遺産には指定されていないが、知念にも知念城跡という史跡がある。海を眺める小高い丘にそれはあり、平日故に修復作業が行われていた。規模は小さいがグスクからの眺めは最高に良い。もっとも、カフェくるくまの方が景観は上だろう。その意味でカフェくるくまは人気があるのも頷ける。
名護~本部
二泊目は名護市にある「ゆがふいん沖縄」に宿泊した。このホテルは、日本ハムファイターズがキャンプを行う際の宿泊先だそうだ。ちなみに名護球場はホテルの隣である。上の写真に写っているナイター照明がそれで、その奥に名護湾を望むことが出来る。
三日目は、本部から出航するホエールウォッチング・クルーズに乗船した。乗船したのは、沖縄アイランドクルーさんが開催するツアーで11日の午前便である。実はこの日がツアー初日で、果たして鯨の姿が見られるかという心配もあったのだが、そこは流石にプロである。事前に調査をしていたようで、過去に遭遇ポイントに鯨が居ないと判断すると、伊江島の沖まで船を走らせていた。
前日まで波が高く、沖へ出るほどウネリが入り、いざ鯨が出現しても簡単にフレーミング出来る状態ではない。それでも何とか撮影したのが、一連の鯨写真である。SSは1/2000へ固定し、ISOはAUTOというブレを押さえる設定で挑んだけど、やはり慣れていない被写体は簡単には撮影出来ない。
これらの鯨はザトウクジラで、沖縄では慶良間諸島の方が有名かもしれない。実際、慶良間の方が数が多いらしいのだが、本部沖も有望場所であるようだ。本部から出航する為、水族館とセットで訪れるという事であれば、お勧め出来ると思う。時期はやはり2月頃の方が間違いない様だけど、この時期も海況が悪いと小さなクルーザーだから出港出来なかったり、出港しても揺れで船酔いの恐れもある。最低でも酔い止めと、濡れても良い服装と滑りにくい靴は必須だろう。
恩納村
恩納村(おんなそん)付近はビーチがあったり、万座毛という景勝地がある。万座毛はこれまで訪れた事が無かったので、今回立ち寄ってみたのだが、観光地故に人が多い事と午後に訪れた為、写真で有名な如何にも万座毛と判る場所は、逆光でまともな撮影が出来ない。ただ、この景観については、正直なところそう感激するほどの場所ではないと思う。それよりも少し歩き、足下の海を眺めたりの方が僕は楽しかった。
エピローグ
今回の沖縄本島は、全日程を通じ、降雨は全く無かった。それどころか寒いと言われていた沖縄の予報よりも気温が上がり、最終日は11時で21℃を記録していたそうだ。そんな南国の好天も北海道では真逆で冬型の気圧配置となり、千歳空港便が全て天候調査中になっていた。昼間の数便が欠航もしくは出発遅れも発生したようだ。結果的に雪の影響は最小限であったようだけど、この時期の旅行が如何にリスクがあるかを再認識した旅であったと思う。