朝晩の冷え込みは未だ厳しい日もあるけれど、3月ともなると日中の気温はプラスとなり、氷と雪に閉ざされていた大河も川が開く季節だ。釣り場を選べば厳寒期でも竿を振ることは出来るけど、下流部をメインフィールドにしている僕は、この時期に開幕戦を迎える。
春の十勝川は雪が少なければ、河川敷を車でアクセスする事も可能だけど、ここ数年は開幕時にはそれなりの雪が残り、雪原をラッセルする必要がある。当然、スノーシュー持参が望ましいし、それ無しでは身動きがとれなくなる可能性もある。そんな今年の開幕戦。本当は一週早く訪れたかったけれど、3月上旬は二週続けて道内は大荒の天気で、仕方なく延期せざるをえなかったのだ。
車載の温度計では、この日の明け方は氷点下9度を指していた。ラインやガイドが簡単に凍る気温だけど、太陽が出ていると体感上は暖かい。それでも、躊躇無くガイドは凍り付き、何度も息で氷を解かす必要があった。また、濁度計以上に濁りが強いと感じた。その証拠に、氷が色づいているのだ。せめて透き通っていれば、口にガイドを含み、氷を解かすのが楽なのだが。
丹頂(鶴)と言えば、更に東の釧路根室界隈をイメージする人が多いと思うけど、実際に十勝川で釣りをしていると、この地で丹頂に出会う事は珍しい事ではない。流石に釣り人の隣に居るという事はないけれど、早朝などは対岸でその姿を見かけるものだ。
さて、十勝川での開幕戦だけど早朝の冷え込みが厳しかった時間は、全く反応がない。待望の1匹目が掛かったのは、ようやくガイドの氷が緩んできたかなと感じた時のこと。ダウン側をスローリトリーブし、少しのフォールに喰ってきた小型のアメマスである。小型と言っても40cmくらいの個体だけど、この川でこのサイズは小型の部類に入る。超大型はともかく、50cm後半が普段のアベレージサイズである。故に、こうしたサイズが釣れたという事は、本調子ではないということだ。
その予想は当たり、魚は居るけれど口を使わない状況が続いた一日であったと思う。普通のリトリーブでは、殆ど無反応であり、ステイやフォールを多用して、ようやく反応してくれる。もっとも、その反応ですら一桁あったかどうかの数であり、明け方から午後2時まで竿を振り続け、何とか五本。サイズは40cm前後が殆どで、一匹だけ50upという寂しい釣果で終わった。帰還後、他の釣り人の状況を調べてもかなりの釣り人が苦戦していた一日であったようだ。
まだ、チャンスはあると思うけど、このサイズダウンと反応の薄さは、経験的に序盤戦は終焉という判断をしてしまうし、岸の氷を見ていても一週間遅かったかなと感じる。それだけに先週の天候が恨めしいし、土曜日だけ日帰りでアタックしなかった事が悔やまれる。もっとも、例え土曜日であっても、途中の道路状況は決して良くはなかったであろう。あくまでも結果論だけども、それは仕方が無いのかなと諦めるしかないのだろうね。
かなり雪解けが進んだと言っても、十勝川の河川敷をラッセルするのはかなり苦痛だ。雪が堅くしまっていればいいのだけど、スノーシューを履いていても簡単に足が埋まってしまう状況だった。昼前にポイントを移動した場所など、下りなのに歩くだけで汗が噴き出てくる。川も見える距離だけど、到着するまで30分の重労働だ。川岸に到着した時など、しばし座り込んでしまったほどだ。帰り道の登りの方が楽に感じるという状況は、初めての経験かもしれない。