宮島(厳島神社)
日本三景の一つである宮島は、厳島神社を中心とした名勝地だ。ところが一番有名な大鳥居は補修工事が行われており、足場やネットが敷設されていた。ある程度の近くでは鳥居も見えるけど、船の上からは僅かなシルエットでしか鳥居を認識することはできない。こればかりはタイミングの問題もあり、致し方ないとは思う。
世界遺産にも登録されている厳島神社は、国内でも有数の観光地であり、一般観光客のみならず、修学旅行客も非常に多かった。ただ、彼らの先頭には必ずガイドが引率しているので、同じペースで回っていれば否応にも建物の説明などが耳に入ってくる。
宮島には野生の鹿が生息していると事前に聞いていたけど、実際に島内に結構な鹿が闊歩している。多くの観光客を日々みていると、既に人間を敵とは考えていない様だ。写真の牡鹿は、木々から落ちる葉を食べて歩いていた。
宮島といえば「あなごめし」が有名で、島内でも多くの飲食店でメニューに載せているほどだ。老舗は宮島口前で営業している、「うえの」というお店らしい。席の予約が出来ないので食堂で食べたければ並ぶしかないのだが、平日故に40分ほどで席へ案内された(逆に言うと平日でも40分も並ばないと食べられないという事なのだが・・・)。弁当も有名だけど、こちらも混雑していると簡単には買えない様だ。但し、弁当については事前の予約を受け付けている。
こうした有名店で食べるというのは、ある意味、観光客特有の自己満足なのだが、確かに食べた「あなごめし」は、とても美味しかった。ただ、他店を含め、一番美味しいかは判らないし、味付けの好みもあるから尚更評価は難しい。それでも、こちらのお店は並ぶ価値はあると、個人的には評価したいと思う。
尾道
尾道といえば造船所というイメージを抱いていたけど、現在では神社仏閣や坂の風景など観光地としても有名な地だ。川のような尾道水道の景色はあまりにも有名で、向島には今でも造船所が並んでいた。
この地は太平洋戦争でも戦火を逃れており、結果として多くの神社やお寺など古い建物が残されている。また、平地が少ない地理と相まって、独特の景観をもたらせている。町を歩いても歴史を感じるし、併せて懐かしさも感じる本物のレトロ感が尾道の魅力なのだろうね。
尾道での宿泊先は魚信さん。僕は旅先で宿を選ぶ時は、食事を最優先させている。勿論、それは予算内でという事だけど、こちらの宿は料亭旅館魚信と名乗っている事からも、料理を重視しているのは当たり前だ。でも、木造の古い建物と海に面している場所の利も併せて持っており、広縁に座っているだけで癒やされる。
風呂やトイレは共同など、西洋ホテルのようなプライベート空間ではないけれど、旅行時はこうした和風旅館のような宿が僕は好きだ。
屋号の通り、魚を食べさせるという宿で朝食を含め、何を食べても美味しかった。特に煮こごり、煮付けなどの味付けは塩加減、甘さ、魚臭さの有無など、とても美味しく頂けた。
しまなみ海道
尾道や鞆の浦は道路が狭く、且つ、駐車場も限られている。このため、レンタカーで観光巡りという事を止め、公共機関を利用して移動を行ったけど、しまなみ海道だけは車移動がやはり有効だと思う。時間があればレンタサイクルで、今治までの70kmを自転車でという事も可能だ。実際、サイクリングの聖地的な場所なので、環境は非常に整備されている。
今回は時間の関係もあり、観光タクシーを利用してみた。尾道あたりの観光タクシーの相場は、1時間で4900円だとか。流石に1名利用だと割高な移動手段だと思うけど、複数名の乗車であれば利便性を考えると逆に安上がりかもしれない。
鞆の浦
尾道と鞆の浦は、地図で場所を確認すると隣町である。それにも関わらず、尾道から鞆の浦へ公共機関を利用して向かうとなると、一度、福山まで向かってバスへ乗り換えという手段が必要となる。観光シーズンの土日のみ、尾道=鞆の浦の船が就航しているけど、事前に予約が必要な事と本数が少ないので使い勝手は今ひとつだ。
利用はしていないけど陸路では25km程度などで、旅の人数次第ではタクシーで向かった方が良いのかもしれない。今回は尾道からJRで福山を経由して、バスで鞆の浦へ向かった。
鞆の浦は古くからの町並みが残る為、道路は非常に狭く、自動車のすれ違いは出来ない場所もある。このため、市街地の観光用に電動のカート(ゴルフ場にあるものと同型)を採用しているタクシー会社があるくらいだ。歴史のある港町だけど、現在では昔の様に潮変わりを待つ事もなく、古い港町という雰囲気がある。
隣接する島根県、温泉津の港で感じた雰囲気と同じで、共に江戸時代に栄えていた場所という共通点がある。いずれにしても、これらは歴史の浅い北海道で感じることは出来ない。
鞆の浦の宿泊は、景勝館漣亭さん。複数の宿があるけど、この地では三本の指に入る大型旅館。色々な宿泊プランがあるけど、こうした大型旅館の食事は、料理の数と量が多いのが難点であることが多い。それでも、最近は質を重視したプランを選べる宿が増えている様な気がする。
この宿も目の前に仙酔島など鞆の浦の海が見え、景色も良い。但し、鞆の浦の沿岸は基本的に全て護岸がされており、自然海岸を求めるには少し鞆を離れるか、仙酔島へ渡るしかない。
食事の方が特にお造りの魚の質は上等だった事と、名物を謳う鯛釜飯が特に絶品であった。夕食は炭水化物を控えている自分だけど、一口これを食べてしまうと二杯目を頂きたくなる。
広島
広島市内のホテルに、初日と最終日前日に宿を求めた。旅の主目的は宮島、尾道、鞆の浦だけど、この地を訪れて原爆投下の地である事を避けるわけにはいかない。平和記念公園の慰霊碑を訪れたのは言うまでもない。
今では観光地化しており、慰霊碑前で写真撮影する観光客も多い。でも、僕は慰霊碑にカメラを向けることはできない。唯一残したのは、原爆ドームの写真である。
札幌でもそうだけど、僕はこうした個人経営の居酒屋さんが好きだ。理由は単純で、本当に美味しい物に出会える可能性が高い事と、飲み放題がない事も多いから。特に後者は重要で、素性の判らない液体を口にしたくない事が大きい。
イワシ天ぷら
広島を訪れて感じたのは、牡蠣の加工品が比較的廉価なことだ。北海道の牡蠣生産地でも色々な加工品が売られているけど、大抵の場合は買うのを躊躇するほど値段が高いことが多い。市場規模の差なのかもしれないけど、いずれにしても牡蠣好きにはとても良い土地だと感じた。