夕食を終え、休む間もなく十勝川へ向かって車を走らせた。遠征の場合、比較的近い十勝川であっても早い時間に出発し、現地で仮眠をとるのが僕のスタイルである。明け方到着するタイミングで出発するという手もあるけれど、それを行うと中途半端な仮眠となることが多い。仲間と運転を交替しながら向かうというのであれば、悪くないのかもしれない。でも、基本は単独釣行の僕はそれはなかなか適わない方法であるようだ。
現地へ到着し、空を見上げると数多くの星が瞬いていた。三脚を立てカメラをセットする。滅多に星夜写真を撮ることはないのだけど、最近の機材は操作方法さえ間違わなければ、ある程度の写真は誰でも撮れるのだ。ISO感度は1600か3200、露出は記録画像を見ながら調整するけど露光は10~30秒程度。数分露光すれば、低感度でも撮影出来るけど、星が動いてしまうので悩むところではある。
釣りにくるとなかなか眠ることが出来ないのだが、仕事の疲れもあったのだろう、明け方までぐっすりと眠ることが出来た。目が覚めたのは丁度周りが明るくなり始めたころの事。東の空をみると、オレンジ色に染まってきており、日の出が近づいている事を教えてくれる。
朝マズメは釣りの世界では外せないと言われている時間帯である。事実、日が昇ると釣りにならない事もある。但し、これからの時期は早朝よりも少し気温が上がってからの方が活性が高まる事が多い。これから徐々に水温も下がりだし、2度などというレベルになると冷水性のアメマスとはいえ活性は低くなるからだ。
ポイントは2週間前に探釣したポイントなのだが、予想よりも魚の群が少ない。他のポイントではそこそこの好調と聞いているので、地形的に沖は魚が居着かない場所なのかもしれない。それでも長い距離を移動すると、アメマスの反応はあるから今後も探ってみないと何とも判断のしようがない。それでも周辺に他の釣り人が居ないポイントなので、精神的には非常に宜しい。仲間と同行する場合は別として、僕は遠征時に他の釣り人と会いたいとは思わない。昨今の釣り場事情でそれを許してくれない事もあるけれど、やはり僕にとっての釣りは自然とのつきあいなのだ。釣れないよりも釣れた方が勿論楽しいけれど、釣果よりも、その釣りの雰囲気や場所は僕にとっては大切なことだと思っている。