コロナ渦と造り酒屋

豊盃 亀の尾 にごり生酒 純米酒

以前にも書いたと思う「豊盃 亀の尾 にごり生酒 純米酒」は、本来であれば春先に出荷される限定酒だ。精米歩合は70%と数値的には普通の純米酒だけど、旨味が前面に出ている好みの酒である。

でも、この酒を仕入れたのは数日前のことだ。本来は限定品だけど、コロナ渦で居酒屋関係が休業となり、出荷が滞っているらしい。そうした影響で例年であればタイミング次第というこの手の酒が、苦労なく普通に買えるという状況ではあるのだけど、最終的に蔵元が立ちゆかなくなるのが将来的に困る事なので複雑な気分ではある。

何度か書いている広島の「海の干しがき」

当たり前だけど旨味の強い乾物は、最高の酒肴となる。カラスミなどは大昔から酒肴として有名なものだけど、こうした乾物も非常に酒に合う食材だと思う。

貝類は干すと旨味が増す食材の一つで、有名なのは中華料理に使うアワビであったり、日常的にはホタテの貝柱も同様だ。

牡蠣については個人的には生での香りと食感が好きで、焼いたり蒸したりはあまり好まないのだけど、この干した牡蠣は例外である。

夏休みの終わりに

叔父が亡くなったと連絡が入り、葬儀に参列してきた。享年91歳と今の時代でも長生きされたと思うけど、数年前までは今の時期であればオホーツクに走り、カラフトマスを釣るなど、自分がその歳まで生きれたとしても同じ事はまず出来ないだろうと感じるほどパワフルな叔父だったと思う。

旧樺太生まれで当時の釣りの話も聞いたことがあるけど、本当に魚影の濃い川というのは一つの針に二匹釣れる事も珍しくはないと聞いたことがある。ここで魚影というのはヤマメの事であり、当時は川釣りといえばヤマメの事を指していたようだ。

また、昭和初期で全く川が荒らされてない時期なので、イトウもわんさか居たようである。ただ、この時代にイトウを釣るという事は殆ど行っていないようで、その理由というのは「何でも食べる魚なので気持ちが悪い」という事を言われていただったと記憶している。

恐らくはネズミや鳥などまで襲う魚という事と、今の様にゲームフィッシングという時代ではないので、食べようとする魚以外は釣りの対象ではないという事なのかもしれない。

釣り好きという事もあり、会えば釣りの話ばかりしていたと思うけど、巡り合わせか一緒に釣りをしたことが一度もない。それでも、子供の頃に沢山のヤマメを釣ってきた事も覚えているし、話を聞くだけで名手だった事は間違いないと思う。

そういえば戦後、樺太から札幌に引き上げてきた頃、支笏湖のチップを一斗缶に詰めて札幌に持ち帰り、料亭などに売っていたと聞いたことがあったなあ。この当時の支笏湖は底釣りだったらしいのだけど、それでも恐らくは生息数が段違いだったのだろうね。

そうした釣りの話ももっと沢山聞きたかったし、出来れば一緒に釣りにも行きたかった。今となってはかなわない事だけど、話をしただけでも自分のスタイルに何らかの影響を頂いたし、子供の頃から本当に可愛がって貰ったと思う。

叔父さん、本当にありがとうございました。

今週の一本

田酒(青森) 純米吟醸 古城錦

まだ飲んでいないけど、酒屋でテーブルの上にちょこんと乗っていたので買い求めたもの。古城錦という酒米は飲んだことはないけど、田酒を作る西田酒造さんの事なので失敗したと感じる事はないと思う。

しかし、買ってきてから言うのもなんだけど、田酒自体がなかなか入手出来ない中でこの酒は限定品という事もあり、かなりのレア度を誇るらしい。それ故、次回入手出来る確率はかなり低い気がする(毎日酒屋へ通えば別だが・・・)。

開けるのが楽しみだ。

九平次のhuman

醸し人九平次のhuman。最近は同酒造の「黒田庄に生まれて」を買う求める事が多いのだけど、売り切れで手が出る九平次がこれしか置いていなかったという理由で普段より高いこれを買い求めた。

黒田庄などより5%ほど精米歩合が上がっている純米大吟醸だけど、この5%で味が全く違う。通常品でも十二分に美味しいけど、雑味が明らかに減って、旨味が凝縮されている。ただ、このクラスになると美味しいかどうかは好みの問題になるし、コスパを考えると「EAU DU DESIR」などの方が買いやすい。

また、流石にこのクラスになると酔っている状態では勿体なく、香りを楽しみ、一杯一杯少しずつ舌で旨味と酸味を確かめて味わっている。辛口好きの人にとっては真逆の味かもしれないけど、この酸味と旨味は個人的には好ましいものなのだ。