仙鳳趾の牡蠣

夏は身が痩せるらしい。冬場に食べてみたい。もっとも、夏でも味は十二分に美味しい。

知名度が上がってきた仙鳳趾の牡蠣だけど、売られている牡蠣はかなり大型の物が多く、当然ながら価格もかなりのものとなる。

現地では一番小さな牡蠣で1個50円というレベルで売られており、牡蠣は手軽な食材の一つではあるけれど、自分で剥いて食べるという意味では、この小型の牡蠣は一口サイズで個人的には気に入っている。

夏場の牡蠣は海水温の関係で(相対的な話で絶対値は低いのが道東太平洋だが)身が痩せていると言われていて、確かに殻を剥くと痩せているかなと思う。ただ、牡蠣の身というのは殆どが内臓なので痩せていたとしても、味は上々である。

隣町の厚岸産同様に年中出荷が可能な牡蠣なので、真夏でも生を味わえるという意味で良い生産地だと思うし、何よりもコスパが素晴らしい。

尚、仙鳳趾の牡蠣は仙鳳趾漁港と老者舞(おしゃまっぷ)で現地買いができる。個人的には老者舞については独特の地形とルートが一人旅にマッチして、好んで買うのは老者舞の牡蠣である。

半分は焼牡蠣にしてみた
酒は醸し人九平次を選んだ

コロナ渦と造り酒屋

豊盃 亀の尾 にごり生酒 純米酒

以前にも書いたと思う「豊盃 亀の尾 にごり生酒 純米酒」は、本来であれば春先に出荷される限定酒だ。精米歩合は70%と数値的には普通の純米酒だけど、旨味が前面に出ている好みの酒である。

でも、この酒を仕入れたのは数日前のことだ。本来は限定品だけど、コロナ渦で居酒屋関係が休業となり、出荷が滞っているらしい。そうした影響で例年であればタイミング次第というこの手の酒が、苦労なく普通に買えるという状況ではあるのだけど、最終的に蔵元が立ちゆかなくなるのが将来的に困る事なので複雑な気分ではある。

何度か書いている広島の「海の干しがき」

当たり前だけど旨味の強い乾物は、最高の酒肴となる。カラスミなどは大昔から酒肴として有名なものだけど、こうした乾物も非常に酒に合う食材だと思う。

貝類は干すと旨味が増す食材の一つで、有名なのは中華料理に使うアワビであったり、日常的にはホタテの貝柱も同様だ。

牡蠣については個人的には生での香りと食感が好きで、焼いたり蒸したりはあまり好まないのだけど、この干した牡蠣は例外である。

夏休みの終わりに

叔父が亡くなったと連絡が入り、葬儀に参列してきた。享年91歳と今の時代でも長生きされたと思うけど、数年前までは今の時期であればオホーツクに走り、カラフトマスを釣るなど、自分がその歳まで生きれたとしても同じ事はまず出来ないだろうと感じるほどパワフルな叔父だったと思う。

旧樺太生まれで当時の釣りの話も聞いたことがあるけど、本当に魚影の濃い川というのは一つの針に二匹釣れる事も珍しくはないと聞いたことがある。ここで魚影というのはヤマメの事であり、当時は川釣りといえばヤマメの事を指していたようだ。

また、昭和初期で全く川が荒らされてない時期なので、イトウもわんさか居たようである。ただ、この時代にイトウを釣るという事は殆ど行っていないようで、その理由というのは「何でも食べる魚なので気持ちが悪い」という事を言われていただったと記憶している。

恐らくはネズミや鳥などまで襲う魚という事と、今の様にゲームフィッシングという時代ではないので、食べようとする魚以外は釣りの対象ではないという事なのかもしれない。

釣り好きという事もあり、会えば釣りの話ばかりしていたと思うけど、巡り合わせか一緒に釣りをしたことが一度もない。それでも、子供の頃に沢山のヤマメを釣ってきた事も覚えているし、話を聞くだけで名手だった事は間違いないと思う。

そういえば戦後、樺太から札幌に引き上げてきた頃、支笏湖のチップを一斗缶に詰めて札幌に持ち帰り、料亭などに売っていたと聞いたことがあったなあ。この当時の支笏湖は底釣りだったらしいのだけど、それでも恐らくは生息数が段違いだったのだろうね。

そうした釣りの話ももっと沢山聞きたかったし、出来れば一緒に釣りにも行きたかった。今となってはかなわない事だけど、話をしただけでも自分のスタイルに何らかの影響を頂いたし、子供の頃から本当に可愛がって貰ったと思う。

叔父さん、本当にありがとうございました。