秋蝦蛄と日本酒

小樽産 秋蝦蛄

石狩湾の西に位置する小樽では秋の蝦蛄漁が行われており、この時期でも市場に茹蝦蛄が並ぶ。好みやタイミング次第ではあるものの、僕はこの時期は雄を食べる時期だと思う。

初夏の蝦蛄はカツブシと呼ばれる卵が味わえる時期だけど、晩秋の蝦蛄は雌は確かに卵を持っているけど初夏のそれとは違うものだ。もっとも、後は好みの世界なのであり、どちらが良いかなどという話はできない。

獺祭 純米大吟醸45 寒造早槽

コロナ禍や北海道内の感染者数が増えてきており、なかなか外でというわけにもいかないご時世ではある。もっとも、褒められる事ではないのかもしれないけど、個人的には結構出ていると思う。

但し、コロナ禍に関係なく僕の酒は殆どの場合、単独であり、尚且つ行く店も決まっている。稀に会社の同僚に付き合う事もあるけれど、僕自身は同僚との酒は限りなくお付き合いであり、自分だけで飲む酒とは全く異質なものだ。

もっとも、若い自分には結構同僚とも飲みに行っていたと思う。なんで行かなくなったかと言えば、不味い酒を出す酒屋がが多くなったからだ。飲み放題というシステムが一般的になっており、昔であればウィスキー、少し前であれば芋焼酎、最近であれば日本酒などは正直只でも飲みたくないレベルの酒ばかり。

辛うじて飲めるのがチューハイやカクテル系だけど、それとて本格的なカクテルとは異なる代物なので正直勘弁してくれというのが本音だ。

話は長くなってしまったけど、最近買ってきた三種類の酒が上下の日本酒。獺祭については有名な銘柄だし、売られている店も多いので飲んだことがある人も多いと思う。

写真の獺祭は純米大吟醸45 寒造早槽という季節限定品。獺祭らしく、雑味の無い味は美味しいと感じる。超有名銘柄になってしまったので、避けているという面も否定はしないけど飲めば美味しい酒と感じる酒なのは間違いない。

ただ、僕の好みとは少し違う酒であるのも事実。買ったのは酒が無くなったからであり、他の選択肢が無かったという獺祭好きの人が聞いたら噴飯ものの選択理由であったりする。

醸し人九平次 Le K rendez-vous(ランデブー)

九平次は色々飲んでいるわけではないので(高くて飲めないのが最大の理由だろうけれども)、結構なラインアップの個々を語るという事はできない。

僅かな例外を除き、全て純米大吟醸しかラインナップにない九平次は比較的廉価な価格の二種類を飲んでみた感想は、明確な酸味を感じさせるけど、その酸味の中に旨味を感じるというもの。それでいて雑味は感じない。

旨いかどうかは好みだろうけど、九平次については一杯飲んだ後、酔い潰れるまで飲み続けたいと思える味わいの日本酒だと感じる。富裕層はともかく、社会人としても安くはない価格帯のお酒ではあるけれど、写真の銘柄などはまだ手が届く価格なので特別な日に飲んでみたいという場合にはお勧め出来る銘柄かなとは思っている。

豊盃 純米吟醸 直汲み 生原酒 720ml

秋にでた豊盃の限定種。純米吟醸となっているけど飲んだ感想は生酒という事もあり炭酸ガス感があるけど、旨味も多い豊盃という感想だ。限定品なので入手は難しいと思うけど、定価であれば買っておいて損はしないと思う。

今年の豊盃であれば、春先に出た「おりがらみ生」の次に好きな豊盃だと感じた。ちなみに「おりがらみ生」はうす濁りに生酒で、辛い甘いで言えば、かなりの甘い日本酒に分類される。今回の生原酒も似た傾向にはあるけれど、旨味のある日本酒は総じて甘い。

こうした甘さは食事をしていてどうよ?という事にもなるのだけど、こうした日本酒でも経験上合わない料理は殆どないと思う。和食は当然だけど、洋食であっても香辛料が少なければ全く問題はない。

ただ、書いた通り、強めの香辛料を使った料理などは、日本酒でもダメとは言わないけれどそれこそ、ビールやハイボールなどのような炭酸系で洗い流す的な方が合っているかもしれない。

最近のグルメ

訓子府の甘い玉葱が今年も入荷したようだ

食べ歩きをはじめ、酒を飲みに行くにも気を遣うご時世である。酒は家飲みだけで全く外に出ていないという人も多いのだろうけど、僕はいつもの居酒屋さんのみ顔を出すようにしている。

常連さん以外の来客が極端に少ないお店なのと、若者は基本皆無なので安心感がある。あと、好きな銘柄である「豊盃」があるのもポイントである。

活蛸の刺身 もう少し寒い時期の方が更に美味しいかな
活蛸のから揚げ

秋のグルメ

蕎麦屋では一杯だけ日本酒を飲むことが多くなった。肴は板わさ。蒲鉾は大八 栗原蒲鉾店 謹製の板蒲鉾。

グルメと言っても、自慢するような食生活はないのだけど、例えば寿司屋の肴として頼んだ板わさ。貧相だと思われるかもしれないけど、こうしたツマミは素材がモノをいう。

小樽の蒲鉾で有名なのは”かま栄”だけど、栗原蒲鉾店の方が好きという人も多い。どちらが美味しい云々は判らないけれど、僕は栗原蒲鉾店の方が好きかな。惣菜として揚げ蒲鉾が主体だけど、板蒲鉾やなるとなどをはじめ、ソウハチカレイを使った角焼などは一級品の味がする。

ラクヨウ(ハナイグチ)の味噌汁

日持ちしない素材の為、ハナイグチが市場で売られているかどうかでシーズンの判断は出来るけど、先週がシーズン最終盤の様で今週末はラクヨウの販売は無かったか、極端に入荷量は減っているようだ。

気温も低くなってきたので、そろそろラクヨウから次のステージに進んだ感がある。

尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 山田錦 旨味は強いが、甘い酒でもある。この辺りは好みが分かれると思うけど、コスパはとても良い。特に今年はコロナ禍の影響で値下げして出荷しているようだ。

純米大吟醸と言ってもピンキリなのは理解しているけど、尾瀬の雪どけ銘柄は現在では消費者にとってはコスパの良い銘柄だと思う。要するに安いという事なんだけど、この理由を販売店の店主に聞いたところ、コロナウイルスの影響で日本酒の消費が落ち込み、値引きして在庫をさばいているようだ。

岩内 清寿司の特上生ちらし 時々食べたくなる

写真とは別の話になるけど、いよいよ本格的なアキアジシーズンとなり、生筋子もスーパーの店頭に並ぶようになってきた。でも、大粒の上等なものは本当にとんでもない値段が付けられていたりする。

こうした価格で今年も不漁だと感じるけど、回帰数小→不漁→放流量も少ないというロジックが続くだろうから、ここ暫くがずっと不漁で今年は不思議に豊漁でしたなんて事になるわけがない。

サンマの様に資源はあるけど道東沖に漁場が形成されないという事であれば、何らかの理由で近くに漁場が形成されれば豊漁になるという事もあるだろうけど、資源量が低迷している魚種は厳しいだろう。

それはさておき、上の生ちらしで好ましいのは、無理にウニを入れてないという事だ。夏には生ウニちらしと出したりしている店だけど、ウニの仕入れがない時期は無理に入れないという事だろう。

まあ、そうは言ってもトビッコが入っていたりするので、地元オンリーではないのは明白だし、ウニの入っていない理由は単に商売上だけの話かもしれない。それでも、隠し包丁の入った鮑など、美味しい生ちらしであるとは思う。