2011 珊瑚礁の釣り

アミメフエダイ

カイモンハタ(イシミーバイ)

西別川氏のファイトシーン

アミメフエダイ

浅い場所は50cm、深いところで2mあるだろうか。見えにくいが、沖の白波はリーフエッジ。

イソフエフキ

写真に写る島は、加屋間島(嘉弥真島)小浜島の北東に浮かぶ無人島。その奥が石垣島である。

 

当初、この三連休はShinya氏と別寒辺牛川のアメマス釣りを打診されていたけれど、夏に八重山諸島を旅した時、石垣島在住の西別川氏へ「次回はマイレージを使い、飲みに行きます」と約束をしていた。そんな折、三連休前に神奈川へ出張予定が舞い込んだ。この時、連休に休暇をつければ、八重山への日程が確保出来ると考えてしまった。Webで航空機の空きを確認すると往復マイレージで便を確保できる事が判り、早々に上司へ休暇の申請を行っていた・・・。Shinya氏には申し訳ない事をしたが、予定していた釣り場では上々の釣果を得ている様で心の荷が少しだけ下りた感がある。そんなプロローグを経て、今年三度めの八重山への旅は始まった。

旅の様子は別に記すとして、今回のメインイベントである八重山の釣りは、事前に西別川氏がガイドサービスであるAnglers Highへ予約を入れて頂いた。狙いはリーフのライトゲームである。沖縄の海といえば、GTをはじめとする大物釣りが有名であるけれど、この手の釣りはそれなりの時間とタックルが必要である。また、数釣りは求める事が出来ない釣りであり、まずは小物の釣りで確実に釣れるゲームをするという狙いがあったと思うし、それは僕も同感である。

もっとも、ライトゲームと言ってもトラウトフィッシングでいうライトとは基準が異なる。珊瑚を中心としたストラクチャーに魚は隠れている為、ヒット後は強引に引き寄せないと珊瑚(根)に潜られ、ラインブレイクが頻発する。このため、バットパワーのあるロッドと最低でも35lb程度のショックリーダーが必要であるらしい。この意味ではロックフィッシュ狙いの釣りに近いと思う。

今回のポイントは、石西礁湖(せきせいしょうこ)と呼ばれる石垣島と西表島のの間に広がる日本最大の珊瑚礁海域である。この海域は水深が極めて浅い場所が点在しており、高速船やフェリーなどの大型船は航路以外の航行は出来ない。この海域を小型ボートで入り込み、ルアーで狙う釣りが今回のライトゲームである。水深は浅い場所で50cm、深くても数mと浅く、透明度が高い。晴れると船の周り360度がエメラルドグリーンに輝いている。写真で黒っぽく写っているのが珊瑚で、他の色が薄い場所は砂場だと思ってもよい。闇雲にキャストしても釣れない事はないけれど、基本的な攻め方として珊瑚と砂地の際へ着水させ、もしくはトレースを行うことだろう。但し、風と潮の流れでボートはかなりの速さで流されてしまう。この日は秒速1m程度であっただろうか。

ガイド氏にいろいろレクチャーを受け、キャストを繰り返すが反応が薄い。それでもガイド氏は試し釣りを行いコンスタントにヒットさせているので、釣れないのはこちらの腕が悪いということだ。浅場ゆえ、当初からワンダーを多用してきた僕だが、数投した時、ガイド氏より「リトリーブはもっと早く・・・今の倍の巻き方でも良いです」とのアドバイスを貰う。ワンダーで高速リトリーブ?そんな疑問も僅かにあったのも事実だが、透明度の高いリーフの釣りはファーストリトリーブでバイトを誘発させる事が基本であるらしい。しかし、釣り始めは干潮の潮どまりということもあり、それでも反応は薄いままである。何度か場所を移動し、反応しだしたのは潮が動き出し、雲の切れ間から太陽が顔を出した頃のことだ。

晴れていた時間は多くはなかったけど、ガイド氏の説明でも曇りより晴れの方が反応は良いとの事だ。ガイド氏曰く「自分の考えですけれど、恐らく晴れていた方がルアーのシルエットがはっきりするからじゃないでしょうか」との事である。本当の理由は判らないけれど、南国の魚は南国らしい晴天の日が釣り日和であるという事は確かな様だ。

ここで西別川氏がポッパーを投げ、「よっしゃ」の声、ガイド氏も「出た~!」という声の後、水面が炸裂した。ジャンプを繰り返す魚をみて「ダツだ~」との声も聞こえる。ガイド氏曰く、「ダツはルアーやラインをボロボロにするので嫌われているけれど、これだけジャンプする魚はゲームフィッシュとして貴重だと思うんですよね」との事。この釣りを続けていれば、どう感じるかは判らないけれど、銀色に輝く大きく細長い魚は僕は美しいと思ったね。

僕も西別川氏に使ってみるかい?と借りたポッパーを何度かキャストしていると、ルアーをめがけて斑紋のある細長い魚が突然飛び出してきた。「バラクーダ(オニカマス)!」ガイド氏が叫び、西別川氏も「面白いでしょ?トップの釣り」と仰る。確かに、バラクーダがジャンプした時はガイド氏も西別川氏も僕も一瞬凍りついたほどビックリしたね。こういう釣りもあるんだ・・・そして楽しいと思った出来事であったと思う。

ところで話は前に戻るけど、比較的深いリーフ場でミノーを高速リトリーブしていた時、ルアーを追い青い魚が横を走っていく姿を目にした。それは恐らくカスミアジ(ガーラ)であったのだろう。初めてみたその魚影は美しく、信じがたいほど速かった。ちなみにガーラというのは大型のヒラアジ類の総称でGTも含まれる。但し、八重山ではGTはカマジィーという名前で呼ばれるらしい。いずれにしてもヒットすることはなかったけど、あの美しいブルーはバラクーダと共に心に残ったシーンであった。

時間とお金の問題で何度もチャレンジ出来る釣りではないけれど、南国の釣りは北海道の鱒釣りとは違った魅力があるのも確かである。荒涼とした北の大地の光景も非常に魅力的だけど、光あふれる南国の景色もそれは魅力的であり、今回の様にボートを駆使し、リーフの真ん中でみた周りに広がるエメラルドグリーンと周囲に浮かぶ島と青空の美しさはこの釣りならではのものだと思う。チャンスがあれば、またチャレンジしてみたい釣りの一つだ。

この釣りでは、西別川氏とガイド氏には本当にお世話になった。最後にお二人に感謝の言葉を述べさせて頂きたい。楽しい釣りを、ありがとうございました。